カーゴニュース 2026年1月13日 第5401号
デジタルピッキングシステム(DPS)のリーディングカンパニーとして、物流や製造現場の生産性向上やピッキングミス防止製品を開発・展開するアイオイ・システム(本社・東京都品川区、吉野豊社長)は、物流現場の課題解決に向けた歩みを加速させている。2021年にTOPPANホールディングスグループの一員となり、グループが注力する物流DXの実現にも大きく寄与している。
1000種類の製品を70ヵ国以上で展開
同社は創業以来、入出荷からピッキング、仕分け作業エリアの効率化・最適化に資するハードウェアソリューションを得意としている。デジタルピッキングシステムは国内トップシェアを誇るほか、プロジェクターで商品情報を投影して作業ミス防止と作業最大化を図る「プロジェクションピッキングシステム(PPS)」、シャッター付き表示器で仕分けミスを防止する「シャッターアソートシステム(SAS)」など、現場の環境に合わせた多彩なラインナップをそろえる。また、バッテリー不要で100万回以上の書き換えが可能な、RFID搭載の見えるデジタルラベル「スマートタグ」も多くの物流・製造現場で採用されるなど、約1000種類の製品が世界70ヵ国以上で導入されている。アイオイ・システムの小林哲也副社長は「海外展開については、約20年前にいち早く中国でのピッキングシステムの販売を開始した。品質の良さが好評で、リピート導入いただく事例も増えている」と説明する。小林氏は同社の事業について「物流倉庫や製造現場の仕分け、ピッキングの工程において、当社の機器・ソリューションは効率化、省人化、高品質化の面で確実に貢献できていると考えている」と胸を張る。
トータルソリューションを加速
同社は近年、仕分け工程において培ってきた実績やノウハウを武器に、倉庫全体をインテグレーションする「トータルソリューション」事業を加速させている。AGVなど自動化機器のメーカーやソリューションの導入先である顧客企業などとともに案件ごとに検討を進める一方、機器の連携や作業工程全体の管理をつかさどる倉庫管理システム(WMS)の開発にも急ピッチで取り組み、24年にクラウド版WMS「AINECT(アイネクト)」をリリースした。小林氏は「自社製のWMSを提供できるようになり、各機器の連携も含めた全体提案ができるようになったのは当社にとって非常に大きな一歩だ」と話す。同社ではトータルソリューションに対応する専門部署を立ち上げ、企画提案とソフトウェア開発を一気通貫で行える体制を整えており、事業の拡大を図っている。
また、25年からは、中国やインドのメーカーが開発した立体型自動ソーターの取り扱いも開始した。小林氏は「お客様のニーズは多様化しており、DPSやPPSに加えさまざまな仕分けソリューションをラインナップにそろえ、提供の幅を広げている」と語る。同社には〝仕分けエリアのパイオニア〟としての下地があり、小林氏は「顧客の物流課題や細かいニーズをすくいあげるノウハウを持ち合わせている」と自信をのぞかせる。そのうえで、「我々の存在意義は、前後工程を含めた作業全体の流れを分析・シミュレートし最適なソリューションを提案すること」と、強みを強調する。
WMSを活用したセミオートメーションの推進
このような事業環境を背景に、同社が推奨しているのが、WMS「AINECT」の能力を活用した「セミオートメーション」の実現だ。すべての物流工程を完全自動化する「フルオートメーション」に対し、自動化と人力を両立し、得意領域で双方の能力を最大化させる考え方として「セミオートメーション」を提唱する。小林氏は、人手不足が慢性化し、今後も大幅な増員が厳しいとされる物流業界においては「フルオートメーション」が究極の理想形だとしつつも、そこに到達するためには、膨大なコスト、荷物量の減少や波動、機器を設置するためのスペースなど諸問題が山積しており、「自動化に踏み出せないというジレンマに陥っている状況がみられる」と現状を分析。「そこで我々は〝できるところからの自動化〟として、自動化と人力を組み合わせる『セミオートメーション』という考え方を推奨している」と説明する。「正確性と効率性を担保するため必要な作業にはロボットを導入し、人力で十分な作業は人手に頼る。まさにDPSやPPSは『セミオートメーション』の一翼を担っている存在だ」と話す。
加えて、TOPPANグループとの連携強化による物流DXの底上げ、自社製品の性能向上も進めている。TOPPANでは、入庫から配送までの物流工程において、デジタル化やデータの見える化によって業務効率・作業品質の向上を実現する物流DⅩ支援ソリューション「LOGINECT(ロジネクト)」を展開しているが、これにはアイオイ・システムが持つ物流への豊富な知見や製品が活用されている。一方、アイオイ・システムでは、それらのデジタルデータを自社製品の開発・改良に生かしている。小林氏は「TOPPANはデジタルデータの扱いに非常に長けておりリソースもそろっている。連携を密にしながらグループとしての強みを見出していきたい」と期待感を示す。
交流の場を設けユーザーの業務改善を後押し
11月には同社では初となる「ユーザー交流イベント」を長野県で開催した。これは、ユーザー同士の交流が困難な地方部のユーザーを対象に、導入事例紹介や情報交換を行う場を同社が提供するイベントで、社員の発案から実現に至った。また26年2月には本社近接に新しいショールームを開設し、実機やソフトウェアの展示数を増やしてデモンストレーションの機会創出を計画している。ユーザー同士、またはユーザーとメーカーを結びつけるこのような機会を増やすことで、ユーザーの困りごとをひとつでも多く解決できる製品・ソリューション開発を目指していくとしている。
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