カーゴニュース 2025年8月5日 第5361号
SGホールディングスグループでIT統括事業を展開するSGシステム(本社・京都市南区、丸山信二社長)は7月29日、NYZ Roboticsとサンワサプライ(上海)有限公司と共同で、AI搭載の荷降ろしロボット「RockyOne」をサンワサプライの東日本物流センター(千葉県四街道市)に導入したと発表した。3社は今年2月に日本市場への物流ロボット導入において協業に合意しており、今回、第一号の導入となった。
「RockyOne」はNYZ Roboticsが開発したMMR(自律移動型単腕ピッキングロボット)で、コンテナ内に積まれた様々なサイズのカートンを自動で荷降ろしする。産業用ロボットアーム、3Dカメラモジュール、独立制御吸着ハンドなどで構成され、コンテナ手前から最奥部まで、すべての荷物を自動で荷降ろしすることが可能。荷物の積み方が悪い場合や障害物でロボットが自動操作できない場合は、タブレット端末上に警告および対応方法が表示され、迅速に復旧することができる。
荷物の対応範囲は1辺の長さが150~80㎜、重量は30㎏までで、20ftから45ftコンテナまで対応できる。処理能力は300~800PPH(Pieces per Hour=1時間あたりのピース処理個数)。
コンテナからの荷降ろし作業は、荷物が天井近くまで積まれているため手が届かず、夏場はコンテナ内の温度が極めて高くなるなど、過酷な労働環境となっている。しかし、輸送効率を高めるために、コンテナ内には多様なサイズや重さの荷物が積まれており、ロボットによる完全自動化が難しかった。
そうした状況に対応するため、SGシステムはサンワサプライの商品サイズや重量、コンテナ内の積載状態などを調査し、対象コンテナを選定した上で自動化の可能性を分析。自動化が可能なコンテナはNYZ Roboticsが安全かつ効率的な荷降ろしが可能か、システム上のシミュレーションで事前検証を行った。一方、自動化が困難なコンテナは、サンワサプライが荷物の積み方など運用面の見直しを行ったことで、混載時でもロボットによる自動化率の向上を実現することができた。
2024年10~11月にかけて実施した実証実験では、対象となるコンテナの大幅な増加に成功し、コンテナ内の作業者はゼロで、重い荷物の処理性能は人手の1・5倍となる250PPH、軽い荷物ではマルチピッキングで人手と同等となる350PPHを達成。今年4月からの本導入では、ロボット高速化と運用面の変更により、大型荷物が320PPH、中型荷物が470PPHに達し、すでに実運用が開始されている。
3社による協業では、SGシステムが販売代理店業務、NYZ Roboticsが製造・保守を担当し、サンワサプライ(上海)は調達・検査を担う。今後はSGホールディングスグループの物流ネットワークとサンワサプライの販売チャネルを通じて、多くの物流現場へのロボット提供を進めていく。
購読残数: / 本
恐れ入りますが、ログインをした後に再度印刷をしてください。