カーゴニュース 2025年8月21日 第5364号

FOCUS
金剛
鉄道コンテナ輸送で安定供給体制を構築

全出荷量の4~7割をコンテナ化

2025/08/20 17:00
全文公開記事 FOCUS 荷主・物流子会社

 移動棚、スチール棚、キャビネット・ロッカーなどの製造・販売を手がける金剛(本社・熊本市西区、田中稔彦代表取締役)。熊本県嘉島町の工場からの出荷では鉄道コンテナ輸送をコアな輸送モードと位置づけ、モーダルシフトを推進している。鉄道輸送はコスト面で競争力を発揮し、CO2排出量の削減にも貢献。今後はパレット化の取り組みと併せて、海上輸送の拡大にも挑戦する。

 

オーダーメイドが中心、

熊本の工場から直納体制

熊本県嘉島町の工場

 1947年の創業で、金庫やスチール家具の製造が発祥。2016年の熊本地震発災により、上熊本工場(熊本市西区)が被災したことを受け、18年に熊本県嘉島町に工場を新設。同工場の「MES(製造実行システム)を中心とした工場システムと生産設備の相互接続による工場IoT化」の取り組みは、20年の第8回ものづくり日本大賞の「Connected Industries-優れた連携」部門で最高位にあたる「経済産業大臣賞」を受賞した。

 

 取り扱い製品は、移動棚、スチール棚、キャビネット・ロッカー、金庫・鉄扉、図書館書架・家具、収蔵庫設備、展示什器、資料保存用品、スマートガイド・デジタルミュージアム、納骨壇、その他特注品など。納入先はオフィスや工場・物流倉庫、図書館、博物館、美術館、個人宅まで幅広い。物流倉庫向けには各種ラック・棚のほか、AMR(自律走行搬送ロボット)用ラック、ロールボックスパレット(カゴ台車)・台車、メッシュパレットなども取りそろえている。

 

 各製品は主にオーダーメイドで、そのほとんどが各施設へ部材(組立完成品での出荷にも対応)として納入し、現場で組み立て・施工を行う。嘉島町の工場からの出荷がメインで、物流拠点を経由しない直納体制をとっており、出荷頻度の少ない製品については埼玉県越谷市の倉庫を二次配送拠点として活用。施工現場に納入するため遅延対策が欠かせず、誤配送や輸送中の破損防止、輸送に伴うCO2排出量の削減も同社の物流における主要テーマとなっている。

移動棚をはじめ物流倉庫向けの取り扱い製品も多い

鉄道輸送はコスト面で

競争力、CO2削減効果も

 

 工場が熊本県にあるため九州以外への出荷では、05年頃から日本通運と連携し、鉄道コンテナ輸送を本格的にスタートした。部材の形状・サイズ・寸法が異なるため、コンテナへの積み付けの難易度が高く、ストレッチフィルム梱包などによる荷崩れ対策を徹底。時期によって異なるが、現在、全出荷の4~7割が鉄道を利用している。沖縄向けの海上輸送でも鉄道・内航併用タイプのコンテナを利用している。

 

 鉄道輸送はとくに遠方への出荷でコスト競争力を発揮する。たとえば、東京に出荷する場合、鉄道を利用するとトラックに比べて約半分の運賃に抑えられるという。トラックドライバー不足や労働時間規制の強化を背景に、九州地区では熊本まで下ってくるトラックが減少傾向にあり、熊本から全国に出荷する金剛にとって鉄道輸送は安定供給を維持するために不可欠な輸送モードとなっている。

 

 納入先の条件によっては、鉄道を利用できないケースもある。たとえば、貨物駅から納入先までの距離が離れている場合は、時間指定に間に合わないためトラックで運ぶしかない。大型車が入れないためコンテナでの納入が難しい現場に対しては、4t車で全工程を運ぶのではなく、最寄りの駅まで鉄道輸送し、4t車に積み替えて納入する――といったスキームも取り入れている。

 

 今後も鉄道輸送比率を上げていくとともに、輸送モードの複線化を図るため、大型案件を対象に海上輸送の拡大を模索中だ。今期は門司(北九州)~南港(大阪)で利用実績がある。トレーラへの積み込み時間を短縮するため、パレット化を進めていく方針だが、パレットの回収に課題を抱えている。また、改正物流法への対応では、工場の生産計画の安定化と遵守によりドライバーの荷待ち対策にも取り組む。

鉄道輸送は安定供給を支えるコアな輸送モードに
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