カーゴニュース 2025年10月23日 第5381号
ダイキン工業(本社・大阪市北区、竹中直文社長)は9日、2025年度の「全国物流サービス向上研修発表会」を開催し、物流パートナー企業から97社・220人が参加した。第1部では、生地幹物流本部長が重点取り組みを説明。製造業の物流担当役員を招き、講演会も行われた。第2部の研修発表会では4つの事例を報告。また、功労顕彰(1人)、功労賞(8人)、物流本部長賞(6社)の表彰式も行われた。
生産、販売と物流の連携による効率化を推進
生地物流本部長は、「今年は当社の経営計画『FUSION25』の最終年度にあたる。スタート当初からコロナへの対応をグローバルで迫られ、各国で物流が寸断される中、皆様にはサプライチェーンを力強く支えていただいた。その後、各国の空調需要が拡大し、ダイキンとして『地産地消』を推進するため、世界5地域で工場を立ち上げた。物流本部も各国で物流拠点の確保などの物流施策を進めてきた」と振り返った。
その間の労働力不足や物価高に伴う物流コストの上昇にも触れ、「日本では『2024年問題』に代表されるように物流効率化への取り組みが義務化された。これらの課題に対し『FUSION25』の後半ではグローバル各国でコストダウンを推進し、包装の効率化や日本では生産、販売と物流の連携による効率化、パレット輸送の推進、トラックの待機時間削減などに取り組んできた」と述べ、次期経営計画「FUSION30」の物流方針のテーマを説明した。
研修発表会では、「堺発拠点間輸送便の完全パレット輸送化取組み」(堺24年問題対応改善チーム)、「物流2024年問題取組~プル型運用を実現するための標準作業、庫内体制の強化」(草加改革チーム)、「部品物流への取組み領域拡大~『手の内化』活動による、改善の仕組みづくり~」(部品物流改善チーム)、「ヒューマンエラー防止を目指したAI活用による職場改善」(淀川安全委員会ウッド職場)について発表された。
異業種・同業種と共同輸送の可能性を探索
表彰式の後、村井哲物流担当執行役員が挨拶に立ち、「今年は大変な猛暑となり、6月から出荷が急増し、現場の皆様には厳しい暑さの中、荷役作業や車両の確保を通じて、お客様への確実な商品のお届けにご尽力いただいた。昨年4月からドライバーの労働時間規制が厳しくなる中、例年以上に車両の確保にご苦労があったのではないか」と述べ、日々ダイキンの物流を支えている物流パートナー会社への謝辞を重ねた。
「2024年問題」への取り組みでは、「空調製品の物流を担当する物流本部のみならず、空調生産本部、グローバル調達本部、化学・油機、特機など関連する部門を集めて現在、対策を推進している。皆様からも共同物流や新しい輸送手段のご提案をいただき、現場での各種改善活動にも積極的にご参加いただいている。このことは皆様とともに全国物流協議会活動を通じて築いてきた信頼関係の賜物だと感じている」と述べた。
さらに、「この1年間、入庫時間の事前予約、トラックの積み込み時間に合わせた出荷準備作業などの取り組みを進めた結果、入庫から出庫まで『2時間以内』という政府のガイドラインの目標をほぼクリアできている。さらに高い目標である『1時間以内』を達成するには、運送会社の皆様のより確度のある運行スケジュールの立案、それに合わせた荷役作業会社の皆様の荷ぞろえ作業との連携が重要になる」と指摘した。
トラックの積載率、実車率の向上に向けては、「ダイキン側で貨物の搭載量を増やすことはもちろんのこと、当社の荷物を降ろした後の他の荷主の貨物の搭載も考慮しながら、運行計画を立てていただく必要がある。当社としては従来同様、各方面からの情報を集め、異業種・同業種との共同輸送の可能性を探索する。加えて、部品サプライヤーの手配で運ばれる貨物と製品との往復輸送の可能性も検討していきたい」と語った。
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