カーゴニュース 2025年11月27日 第5391号
チャレンジングな新経営計画がスタート
――今年度から2030年度までの6ヵ年を期間とする新経営計画がスタートしました。「変革」をテーマにして23年4月に就任した斉藤社長が主導した経営計画として、野心的な内容となっていると感じます。
斉藤 おっしゃる通り、今回の経営計画はチャレンジングな内容になっています。計画している事業内容もそうですし、目標数値も非常に高いものとなっていますが、当社グループが持っている潜在能力やリソースを最大限に発揮することができれば十分に達成可能だと思っています。
当社がこれまで、高い潜在能力を持ちながらもそれを十分に発揮できなかった理由は色々ありますが、最大の要因はリスクをとっていなかったことにあります。祖業である倉庫業という性質上、どうしても安定志向になりがちで、それが前例踏襲主義につながっていた面は否定できません。しかし、今後も成長を続けていくためには、適正なリスクを取りながら、挑戦していくことが欠かせません。リスクを恐れるあまり挑戦できなかった分野についても果敢に挑戦していくことが重要です。
2つ目の理由は、部門同士のシナジーがあまり発揮できていなかったことです。例えば、ロジスティクス事業と国際輸送はこれまで、シナジーが十分に働いているとは言えない状況でしたが、今回の計画ではトータル物流という視点からロジと国際輸送の融合を目標のひとつに掲げました。さらに物流と不動産の連携もこれまでほとんど取れていませんでした。その端的な例が物流不動産です。物流部門は物流不動産を「物流の仕事ではない」と思い、不動産部門も「自分たちの仕事ではない」と考えていた結果、両部門が見合ったままの状態が続いていました。
――確かに、これまでは物流施設の賃貸業はほとんど手がけてきませんでしたね。
斉藤 当社が物流不動産を手がけていく際の優位性は、物流の専門事業者としてテナント側の立場に立った使い勝手の良い施設を設計することができ、かつ庫内運営や流通加工などの物流サービスをセットで提供できる点にあります。そこに、当社が蓄積してきた不動産事業のノウハウや知見を掛け合わせることで、当社らしい質の高い物流不動産を提供できると考えています。
また、不動産事業については「海外×不動産」というシナジーも経営計画に盛り込んでいます。従来、海外については物流事業のみを展開してきましたが、今回の計画では海外でも不動産事業を積極的に展開していく方針を打ち出しました。今年5月には、現地パートナーと提携してタイのバンコク近郊に延床面積約2万5000㎡の賃貸用物流施設を開発する計画を発表しました。また、米国でも丸紅とのJV(ジョイントベンチャー)により賃貸集合住宅のバリューアッド事業に参画しています。
購読残数: / 本
恐れ入りますが、ログインをした後に再度印刷をしてください。