カーゴニュース 2025年11月27日 第5391号
資産有効活用のため、倉庫の再開発を加速
――新経営計画では、資産回転型ビジネスへの本格参入も掲げています。御社は長らく、自前で倉庫を建設し、償却後も長期保有するというというビジネスモデルを続けてきましたが、今後は倉庫施設を流動化していく方向に戦略の軸足を移していくのでしょうか。
斉藤 軸足を完全に移すわけではありません。従来通り自社保有を継続しながらロジ事業を提供していくという手法は続けていきます。その一方で、資産の有効活用という観点から、資産回転型ビジネスのフレームの中で物流不動産事業を展開し、その拠点を活用しながら物流事業を行っていくことも併せて展開していきます。また、外部の物流施設を賃借して物流事業を運営していくパターンもあります。要は、事業成長のためには様々なバリエーションやパターンがあり得るということであり、これまでの「これしかやらない」という考え方からは脱却していく方針です。
――どの手法を適用していくかは、案件ごとにケースバイケースで判断していくということでしょうか。
斉藤 その通りです。当社が競争優位性を持っている、コアとなるような倉庫施設については基本的に自社保有を継続し、そうではないものについては流動化の対象に含めていくというのが基本的な考え方になります。
――今後の国内倉庫への投資に対する考え方を教えてください。
斉藤 現在、倉庫として保有・運営している拠点の中には、資産として有効活用できていないものが多くあります。こうした倉庫は、減価償却を終えた施設で安定利益を出していくという、従来型のビジネスモデルにおいては意味があったわけですが、資産価値に見合った利益をあげているかという点では改善すべき余地があります。今後は、資本効率の面から有効活用できていないと判断した倉庫については、再開発によって新規の施設に建て替えていく取り組みを進めていきます。経営計画の期間中にどれだけ着手できるかという課題はありますが、可能な限り計画的に進めていきたいと考えています。
――再開発を進めていく場合、これまでと同様に自社で活用していく部分と、物流不動産として賃貸に回す部分をハイブリッドで運営していくことになるのでしょうか。
斉藤 当然そうなります。これまでの当社の拠点投資は、メインカーゴを確保したうえで建設に着手してきました。そうすることでリスクを抑えられるメリットはありましたが、その反面、成長スピードが鈍ってしまうというデメリットがありました。しかし、施設活用の選択肢を自社利用だけでなく賃貸にまで広げ、さらに流動化というスキームも加えることで、建設のスピードを速めることが可能になり、成長を加速できるようになります。
タイに続きインドネシアで物流不動産を展開
――タイに続く、海外での物流不動産の展開についてはどのようなプランを持っていますか。
斉藤 当面はアジアを中心に投資していくことになると思います。当社は、インドネシアのジャカルタ近郊にあるMM2100工業団地内に約17万㎡の土地を確保していますが、まだ3分の1程度しか開発していません。タイに続く第2弾として、そこに物流施設を建設する計画を進めています。また、ベトナムでは現在、現地パートナーであるITL社と共同で物流事業を行っていますが、ベトナムも有力エリアのひとつです。
――インドに現地法人を設立して9月から営業を開始しましたが、インドで物流不動産事業を展開することは考えていますか。
斉藤 インド現地法人を立ち上げたばかりであり、まずは物流事業を軌道の乗せることが最優先となります。当社の多くのお客様がインドでの現地生産を拡大しており、物流サービスへの要望が高まっています。インド現法では化学品や自動車など幅広い業種を対象にサービスを提供していきますが、今後は成長を加速させる手法としてM&Aも視野に入れていきます。インドでの物流不動産事業については、物流事業の基盤を固めた先の検討事項になると思います。
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