カーゴニュース 2025年11月27日 第5391号
全国2500社以上の営業倉庫事業者が加盟する日本倉庫協会(藤倉正夫会長)。物流を取り巻く環境が大きく変化するなか、諸課題への〝待ったなし〟の対応が求められる。就任6年目を迎えた米田浩理事長に、物流行政や税制、人手不足への対応や、協会運営のあるべき姿について聞いた。(インタビュアー/西村旦)
――営業倉庫の足元での荷動き動向はいかがでしょうか。
米田 倉庫21社統計によると、ここにきて入出庫高や保管残高、回転率ともに前年実績を上回る傾向が続いています。とくに直近の7月は入出庫に関しては数量、金額ともに前年を大きく上回り、回転率についても50%を超えました。そうした指標から見ても、足元の状況は総じて堅調と言えます。トランプ関税などの不安定要素はあるものの、経済動向全般は少しずつ持ち直しの動きがあるとされており、今後も堅調な荷動きが続くことに期待しています。
地区協会の活動をきめ細かく支援
――いま物流を取り巻く環境は大きく変わりつつあります。そうしたなかで、協会としての今年度に取り組むべき重点テーマとは何でしょうか。
米田 おっしゃる通り、物流や倉庫を取り巻く状況はいま、ダイナミックに動いており、日倉協としても適切に対処していく必要があります。具体的には、いわゆる「2024年問題」に関連して改正物流総合効率化法が施行され、今年4月から倉庫事業者を含むすべての事業者に対し、規制的措置が努力義務として課されました。協会として、その内容を会員事業者に周知するとともに、制度の運用が実効性のあるものとなるよう努めていきます。また、「物流拠点の今後のあり方に関する検討会」で示された方向性に基づく施策が今後展開されていくほか、次期総合物流施策大綱の策定作業も進んでいます。こうした行政の動きに遅れることなく、しっかりと対応していきたいと思います。
――米田理事長は就任以来、「役に立つ日倉協」を標榜し、「会員の声を〝聞き出す〟」ことに注力されてきました。
米田 会員の声やニーズに沿ったサービスを提供していくことは協会としての永遠かつ最大の役割です。その目的をより実効性あるものにしていくため、今年度は地区倉庫協会との連携・支援の強化を重点テーマとして取り組んでいます。
いうまでもなく、日倉協と地区協会は会員サービスを提供していくうえで車の両輪です。しかし、地区協会が置かれている状況はそれぞれ異なっており、財政規模や事務局体制にも大きな違いがあります。例えば、財政や人員に恵まれた地区協会が行っている取り組みを環境の異なる協会に求めても、現実問題として難しいことは明らかです。そこで、地区協会の規模別に活動内容を整理し、同じような規模の協会同士がどのような活動を行っているかを整理し、参考にできるようにしました。そのうえで、新たな活動に取り組もうとしている地区協会に対し、日倉協としてしっかりとサポートしていく体制を強化していきたいと思います。
また、今年度は、地区協会の新規会員勧誘活動についても支援していきます。入会することのメリットや新規会員の声を集めたパンフレットの作成を進めており、今年度中に地区協会に配布する予定です。
――昨年度から委員会体制が再編されましたが、活動状況はいかがでしょうか。
米田 委員会体制を時代のニーズに沿ったかたちにアップデートしました。そのなかで、倉庫業界における最大の課題とも言える人手不足に対応するために、新たに人材確保委員会を設置するとともに、ワーキングチーム(WT)を設けて活動を強化しています。今年5月にはセミナーを開催し、WTメンバーを中心としたパネルディスカッションを開催したほか、人材確保・定着で成果をあげている会員事業者の好事例集を取りまとめ、会員各社に横展開する活動に力を入れています。
このほか、委員会活動全般について、今年度からWebによる参加や代理出席を認めるなど、委員会への参加率を高めるための見直しを実施したほか、各委員会が主催する講演会やセミナーについて、講師の許可が得られれば会員企業に動画配信していく取り組みも行っています。
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