カーゴニュース 2026年3月17日 第5419号

FOCUS
公取委/中企庁
着荷主での「荷待ち・荷役」を独禁法の禁止行為に

物流特殊指定を着荷主にも適用、規制対象に

2026/03/16 17:00
全文公開記事 FOCUS 荷主・物流子会社 行政 トラック輸送

 公正取引委員会と中小企業庁は10日、価格転嫁を推進する方策を検討する「企業取引研究会」の第4回会合を開催し、独占禁止法の告示である「物流特殊指定」を着荷主にも適用する方針を決めた。着荷主が運送事業者に無償の荷待ち・荷役などを行わせることを「禁止行為」として明確化する。違反すれば罰則が適用されるため、着荷主の都合による待機や荷役の解消が進むことが期待される。公取委は今年6月に告示を改正し、来春に施行する。

 

着荷主から発荷主へ待機・荷役の対価支払い

 

 「物流特殊指定」は荷主と物流事業者との取引での「優越的地位の濫用」を規制するために2004年に施行された。不公正な取引方法(禁止行為)として、①代金の支払い遅延②代金の減額③買いたたき④物の購入強制や役務の利用強制⑤割引困難な手形の公布⑥不当な経済上の利益の提供要請(契約にない無償の荷役など)⑦不当な給付内容の変更・やり直し(契約にない無償の待機など)⑧要求拒否に対する報復措置⑨情報提供に対する報復措置――などを定めている。

 

 ただ、輸送・保管を委託する発荷主と物流事業者の取引が適用対象となっており、着荷主は対象外だった。また、着荷主側で発生した待機・荷役の対価を物流事業者が請求できない場合や、発荷主が対価を支払い、着荷主へ転嫁できていないケースもあった。今回の改正により、着荷主が自己都合で無償の待機・荷役をトラック事業者に行わせることが禁止行為として明確化され、着荷主は発荷主に対し、待機・荷役の対価を支払わない限り「物流特殊指定」の違反対象となる。

 

 違反した着荷主に対し、公取委は事務所などへの立入検査を行い、帳簿・取引記録などの関係資料を収集する調査や事情聴取を行う。違反行為を認定した場合、是正を命じる排除措置命令を発出して社名を公表する。命令に従わなければ2年以下の懲役または300万円以下の罰金が科せられる。

 

取引適正化へ、着荷主の優越的地位に着目

「取適法」と「物流特殊指定」の適用対象(トラック)

 今回の「物流特殊指定」の告示の改正には、今年1月から施行された中小受託取引適正化法(取適法・改正下請法)では着荷主対策がカバーしきれていなかったことが背景にある。取適法は運送行為も規制対象に含めた法律だが、対象とするのは、発荷主と運送事業者の取引と元請運送事業者と中小受託事業者(下請)の取引など、直接契約を結んだ取引に限定される。そのため、着荷主と運送事業者のように直接の契約関係がない場合は、禁止行為が発生していても取り締まることができなかった。

 

 また、取適法では発荷主や元請運送事業者を「優越的地位にある者」とし、発荷主から運送依頼を受ける運送事業者や、元請事業者から業務を受託する下請を保護する狙いがある。これに対し、発荷主と着荷主の関係では商流上、〝お客様〟である着荷主が優越的地位にあるため、発荷主は荷待ち・荷役などの行為について是正を働きかけにくい事情があった。公取委と中企庁の担当者は「1月に施行した取適法がカバーしていない取引についても規制が必要との考えに基づき、独禁法の物流特殊指定を改正するものであり、取適法と物流特殊指定を両輪として活用し、取引の適正化につなげていく」としている。

 

取適法×改正物流法×独禁法で取引慣行を是正

 政府の関係閣僚会議は物流の「2024年問題」対策として23年6月に「物流革新に向けた政策パッケージ」を策定。発着荷主の物流改善を求め、待機・荷役時間の削減を努力義務に定め、荷主・物流事業者に物流改善を努力義務化した。加えて、大手荷主などには改正物流法に基づく改善計画の提出義務や物流統括管理者(CLO)選任を義務付けたが、こうした義務の対象から外れるが物流に対して影響力を持つ荷主などへの実効性のある規制が課題となっていた。

 

 具体的には、取適法や改正物流法がカバーできていない着荷主と物流事業者の不適切な取引慣行に〝メスを入れる〟ため、独禁法の「物流特殊指定」を規制ツールとして用いることとした。公取委と中企庁の担当者は「国土交通省のトラック・物流Gメンなど荷主対策を行う関係部署と連携しながら、是正を図っていく。着荷主が発荷主に対し、(荷待ちや荷役の)対価を支払うことを義務化することは明記されていないものの、(無償での荷待ち・荷役の指示という)違反を避けるために対価を負担したり、自社で荷役を行うようになるのではないか」と展望する。

 

 なお、今回の「物流特殊指定」の改正は「物流事業者」に対する着荷主の禁止行為を明確化したものであり、その禁止行為はトラック事業者だけで発生しているわけではない。「物流特殊指定」は「物品の輸送・保管」を行う物流事業者と荷主の取引に関わるものと規定しており、トラック以外に倉庫業者や港湾運送業者などの着荷主との関係も規制の適用対象となる

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