カーゴニュース 2026年3月26日 第5422号
鉄道貨物の取り扱いからスタートし、2026年に創業100周年を迎えた博多運輸(本社・福岡市博多区、渡邊智大社長)。通運業界のリーディングカンパニーである同社は、「通運会社」から「総合物流会社」への進化を加速している。組織の再編により「事業部制」を導入し、通運とトラック運送、倉庫など各部門が連携し、顧客に最適な物流サービスを“ワンストップ”体制で提供する。
通運は中核事業、売上高の3割占める
1927年に創業した同社は、駅に到着する貨物を荷馬車で運ぶ仕事からスタートした。戦時中、ひとつの駅をひとつの運輸事業者に担わせる「一駅一店制政策」が強行された際、創業者の川中一郎氏は国策会社として発足した日本通運への統合を拒否して独立を貫き、博多駅での営業を続けた。川中氏はその後、通運業界で様々な要職に就き、業界の発展をけん引した立役者の一人でもある。
鉄道貨物の取り扱い開始から100年――。通運事業はいまも同社の売上高の約3割を占める中核事業と位置付けられ、利益貢献の面でも“屋台骨”となっている。通運事業の本拠である福岡貨物ターミナル駅では計47台の集配車両を配備。発と着の貨物の取り扱い比率は3対7で、関東方面からの生活雑貨や食品などの取り扱いが多い。着通運として、発通運に「選ばれる」ためにも、福岡発の貨物の開拓に力を入れている。
通運業界のリーディングカンパニーとして、鉄道を活用した物流コーディネートでも豊富な実績を持つ。博多運輸が5社(ヒューテックノオリン、日清製粉ウェルナ、ナカムラロジスティクス、ロイヤル、JR貨物)とともに取り組んだ「冷凍31ftコンテナ利用による環境に優しく持続可能な鉄道輸送へのモーダルシフト」は、昨年の日本物流団体連合会(物流連)の第26回「物流環境大賞」において「サステナブル活動賞」を受賞した。
全社営業で総合力発揮、シナジーを創出
トラックドライバーの労働時間規制が強化される「2024年問題」をきっかけに、近年、荷主の鉄道輸送への関心は高まっている。トラックから鉄道への切り替えを荷主に提案するにあたって、博多運輸の強みとなっているのが、同社の総合物流機能だ。鉄道輸送に倉庫での一時保管やトラックでの集配機能を組み合わせることで、顧客に最適な物流サービスをコーディネートし、ワンストップで提供している。
有力なソリューションとなっているのが、「博多デバンニングセンター」だ。国際海上コンテナおよび鉄道コンテナからの荷降ろしを行う施設で、この施設を活用することで鉄道輸送の機動性、柔軟性を高められる。たとえば、福岡タ駅に到着した鉄道コンテナ貨物を同センターでデバンニングし、トラックに積み替え、当日中に九州域内に配送する――。着通運からこうしたスキームを発通運に“逆提案”し、モーダルシフトにつなげている。
九州に工場があるメーカーの貨物を、博多運輸の倉庫を経由して、鉄道コンテナで各地に発送するケースもある。このように通運部門が倉庫部門に“送客”するだけでなく、倉庫部門で取引のある荷主に対し、鉄道へのモーダルシフトを提案することもある。年末年始などトラックの手配が難しい時期に、荷主に鉄道輸送のオプションを提示するなど、全社一体となった営業体制により総合力を発揮し、シナジー効果が生まれている。
「事業部制」で顧客の多様なニーズに対応
こうした社内連携を可能にしているのが、同社の組織体制だ。渡邊社長は7年前に「事業部制」を導入。従来、支店ごとに“縦割り”だったのを、事業部という横串を刺すことによって支店の壁を取り払い、輸送事業、倉庫事業、港湾事業が連携し、どの支店でも博多運輸全体としてワンストップで顧客の多様なニーズに対応できるようにした。この組織体制が全社的な営業力の強化につながり、同社の成長のドライブとなっている。
通運部門を統括する、曽我部太平執行役員通運部長は、福岡タ駅がアジアの玄関口である博多港と九州自動車道に接続する都市高速入り口に面した利便性と、博多運輸が持つクオリティの高い総合物流機能を武器に、月の大半を使い北は北海道まで貨物の誘致活動を推し進め、実績につなげている。
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