通関業収入は横ばいが続く(財務省資料より)

カーゴニュース 2026年6月11日 第5442号

オンライン特別編集「10月8日」は通関業の日

FOCUS
通関業務料金、値上げ機運高まる

物流大綱で価格転嫁に“お墨付き”

2026/06/10 17:00
全文公開記事 FOCUS 運賃・コスト グローバル物流

 通関業務料金の値上げの機運が高まっている。昨年末以降、大手物流会社を中心に、20~25%程度の引き上げ幅で価格改定を打ち出す企業が増えてきた。新たな総合物流施策大綱に「労務費等のコストを通関業務料金へ適切に転嫁」との記載が盛り込まれたこと、日本通関業連合会が荷主と通関業者との不適正取引について報告できる「目安箱」を設置したことも、価格交渉に追い風となる。

 

「上限額」撤廃後も価格改定に苦戦

 

 通関業務料金は、「利用者保護」の観点から1995年に「上限額」が定められ、その範囲内で料金が設定されていた。2017年10月8日の通関業法改正により、この上限額が撤廃されたことで料金は自由化され、通関業者が自社の業務内容に応じて自由に料金を設定できるようになった。

 

 ところが、旧上限額が長年にわたって、通関業務料金の「目安」として荷主に認知されてきたため、実際には上限額を超えた料金への改定が進まなかった。また、同業他社との競合や荷主との力関係から、そもそも旧上限額の「満額」に達せず、7~8割程度の収受にとどまっているケースも多かった。

 

 財務省の調べによると、通関業者の全体の収入における通関業収入の割合は低いものの、その額は過去20年間ほとんど変化しておらず、輸入許可件数の伸びに対して通関業収入は横ばいとなっている。輸入申告1件あたりの収入が低下していることは、通関業者が適正通関を行ううえで必要な収入を確保できない可能性が示唆される。

 

 名古屋通関業会が24年に行ったアンケートで、通関業務料金の値上げの必要性を聞いたところ、「必要」とする事業者は96%に達した。理由としては人件費の上昇、作業生産性の悪化、働き方改革に伴うコスト増加など。一方、「値上げが認められた荷主はほとんどない」との回答は72%にのぼっていた。

 

価格改定は大手が先行、中小は様子見も

 

 こうしたなかで、昨年末にNIPPON EXPRESSホールディングス傘下の日本通運が26年1月1日から、通関業務について平均約25%の増額改定を行うと発表。料金改定の理由について「事業環境の変化に伴うコスト増は、自助努力のみでは吸収が困難な水準であり、安定的かつ良質なサービスの提供を継続するため」とした。

 

 その後も大手を中心に、通関業務料金の値上げが発表されている。主な企業としては、阪急阪神エクスプレス、上組、大東港運、日新運輸工業、二葉、ナカムラロジスティクス、三菱倉庫などが価格改定を発表。通関業者からは、「認めてもらえるかはともかく、値上げをお願いするタイミングとしては今しかない」との声が聞かれる。

 

 背景にあるのは、3月31日に閣議決定された新たな総合物流施策大綱。「労務費等のコストを通関業務料金へ適切に転嫁していくことの必要性を広く周知していく」「通関業者の適正な業務運営を確保するための環境整備に向けた取組を推進する」との記載が盛り込まれ、価格転嫁について国の“お墨付き”を得た。

 

 日本通関業連合会でも、「通関業務の経営環境の改善に向けた活動に関する目安箱」を会員向けに開設。荷主との価格交渉や、関税等の立替払いの解消に困難を感じている会員からの情報を収集し、財務省関税局や公正取引委員会と情報共有していく新たなスキームの運用を6月から開始した。

 

 なお、通関業務料金の値上げについて、中小の通関業者はまだ様子見のところも多い。「一見さんの荷主に対しては値上げをお願いしやすいが、既存の荷主は取引が長ければ長いほど、また、取扱量が多ければ多いほど値上げが難しい」との声も聞かれる。また、「ようやく旧上限額の満額がとれるようになった程度」など価格交渉に苦戦している様子もうかがえる。

主な物流会社の通関業務料金改定
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