カーゴニュース 2026年7月2日 第5448号
物流戦略のキーマン “CLOに訊く”シリーズ
書籍送品の中核物流拠点を再編
――ここ数年、物流拠点の再編にも取り組まれています。その背景をお聞かせいただけますか。
伊藤 まず、出版物の流通、物流の特殊性について説明します。書籍は多品種少量、雑誌は定期刊行物として、発売日に大量発行します。この2つが組み合わさっているのが出版物流の特徴です。また、“地産地消”ではなく、印刷会社やその倉庫などサプライヤーは東京・埼玉周辺に集中しており、そこから全国へ出版物を大量に出荷し、輸送しています。
そうした流通特性に合わせ、当社は大量出荷・大量輸送に適した物流拠点の配置、設備等を実装してきました。物流センターについても、業量のピークだった1996~97年の手前の時期に整備したため、当時では最新で、業量の拡大に対応したマテハンを導入しました。しかし、現在は業量が減っている状況で、その設備を維持するのは厳しくなっています。
――そこで23年から日販グループ全体で「物流再編プログラム」に着手したのですね。現在の進捗はいかがでしょうか。
伊藤 第1期が完了して、これから第2期に入るところです。第1期の成果としては、グループ全体で物流拠点が13拠点・6万1000坪あったのを、直近では9拠点・4万8000坪まで集約しました。業量の減少を受けて、グループ内における物流拠点の機能統合の実施、さらにトーハン様との協業によって返品拠点の統合を行いました。また、当社は25年2月にCVS(コンビニエンスストア)取引を終了したことに伴い、CVS拠点を書店向けの拠点へ機能を切り替えました。
しかし、それだけでは“縮小均衡”になってしまいます。「出版物を大量に扱う」ことを前提とした巨大なセンター・マテハンから、よりコンパクトで汎用性があり、変化に柔軟に対応できるセンターに転換する――という方針に基づき、24年10月に埼玉県新座市に物流拠点「N-PORT新座」を新設しました。
グループで分散していた文具・雑貨の物流を統合するとともに、ネットワーク化・クラウド化を行い、共通の倉庫管理システムで運用できるようにしました。また、汎用的な商材を扱えるようにし、いわゆる“物流受託”も含めた物流事業の拡大を実現しています。機械化・自動化にも投資し、ラピュタロボティクス様の自在型自動倉庫「ラピュタASRS」を導入しました。「N-PORT新座」は様々な商材を効率よく扱うことのできる、次世代物流拠点のプロトタイプとなるセンターと位置づけています。
――第2期ではどのような施策を予定していますか。
伊藤 書籍の中核拠点である「王子流通センター」(東京都北区)に対し手を打っていきます。計画では28年の秋から冬を目標に、基幹業務である書籍の送品機能等を近郊の4拠点に移管し、「ネットワーク型拠点」に再編します。「王子流通センター」は1970年に建設され、建物やマテハンの老朽化が進み、近年、修繕費がかさんでいました。また、業量のピークに向けて設計されたため、現在はオーバースペックになっています。「重厚長大な物流センターから、コンパクトで柔軟な物流センターへの転換」「将来の労働力不足、人件費高騰に対し、これまでのノウハウを活かした機械化・DX化」「クラウド化、拠点分散により災害や障害などにも強い物流」――この3つが今後の物流拠点の基本的な考え方です。
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