カーゴニュース 2026年7月21日 第5453号
名港海運(本社・名古屋市港区、髙橋広社長)は、海陸複合輸送サービス「カモメ混載便」を7月からスタートさせた。パレット1枚からの小口貨物を対象とした定期輸送サービスで、異形物・長尺物・重量物にも対応。近海郵船と太平洋フェリーの定期航路を活用し、名古屋港を基点に北海道と九州を結ぶ。幹線輸送の海上モーダルシフトにより、荷主のサプライチェーンの環境負荷低減に貢献するとともに、長距離ドライバー不足の緩和、輸送モードの複線化によるBCP対策の強化にもつなげる。
パレット1枚から、異形物・長尺物・重量物にも対応
同社では「2024年問題」や「スコープ3」への対応として、近年、物流におけるモーダルシフトを検討する荷主が増加傾向にあり、とくに4t・10tトラックや小口輸送のモーダルシフトに関する相談が増えている。従来からのセミトレーラ貸切サービスだけではこうしたニーズに応えられないため、名港海運の海陸複合輸送ネットワークを最大限に活用した小口混載便サービスを構築した。
新サービス「カモメ混載便」は、パレット1枚単位からの利用が可能で、トラックをチャーターするほどではないロットの貨物に最適。船社の定期航路の活用によりスケジュール管理が容易で、陸路の寸断やトラックの確保が困難な場合に備えた代替輸送手段を持つことでリスクを分散できる。船舶輸送はトラック輸送に比べて走行距離あたりのCO2排出量を大幅に抑えられ、博多発の各拠点向けの輸送では最大83%のCO2削減効果を見込む。
「カモメ混載便」は名古屋港を基点に南北のルートを構築。南航路は近海郵船(敦賀港~博多港)、北航路は太平洋フェリー(名古屋港~仙台港~苫小牧港)を利用し、南航路、北航路とも往路、復路それぞれ週1便体制。南航路と北航路をつなぐ敦賀港~名古屋港間は陸送で対応する。各港に取り扱い拠点(積替倉庫)を設け、配送トラックの手配も可能で、ドア・ツー・ドアのサービスを実現する。
13mセミトレーラ(ウイングシャーシ)を使用し、天候に左右されない荷役を実施。パレット貨物またはフォークリフト作業が可能な荷姿を基準とし、基準サイズはT11パレットで最大重量はパレットあたり700㎏まで。路線便や鉄道輸送に不向きな異形物・長尺物・重量物にも対応する。リードタイムについては、たとえば博多港の拠点に持ち込まれた貨物は2日目に敦賀港、3日目に名古屋港、6日目に仙台港、8日目に苫小牧港での引き渡しとなる。
環境、定時性に加え2割程度のコストメリット
リードタイムに比較的余裕のある貨物の輸送でニーズを見込んでおり、鋼材や建築資材、小型機械、フレコンバッグの荷姿の化学品原料などの引き合いがあるという。岡信也国内営業部長は「路線便が敬遠するような貨物の輸送ニーズにも応えていきたい」と意欲を見せる。船舶輸送は環境面での優位性に加え、定時性にも優れており、博多~苫小牧間でトラック輸送と比べ2割程度のコストメリットが見込まれるという。
各拠点ではトレーラのラッシング・養生の作業に長けた作業員が対応し、輸送品質も確保。大橋正和経営企画部長兼サステナビリティ推進室長は、2027年3月期以降、東証プライム市場の上場企業に段階的に義務付けられる「スコープ3」対策としてもモーダルシフトが注目を集めているとし、「『カモメ混載便』でしっかりサービスを確立し、チャーターサービスにも広げていきたい」と話す。
名港海運が昨年策定した中期経営計画「MX2029」では、モーダルシフトなどのサービス提供体制の強化を掲げており、「カモメ混載便」はその一環。物流サービスに名称を付けたのは名港海運として初めてで、「カモメ混載便」の名称は投票で選ばれた。山口淳取締役専務執行役員は、「1パレットでも貨物があれば責任を持って運ぶ――というチャレンジングな取り組みであり、これを軌道に乗せることで他の航路で検討したい」と語った。
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