カーゴニュース 2026年7月30日 第5456号
トラック運送業界で人手不足が深刻化するなか、外国人ドライバーの採用に注目が集まっている。一方で、言語の壁や教育の難易度が高いこと、採用から育成までの一連のコストなどを理由に慎重な姿勢を見せる企業も多い。ダイセーグループで食品配送や医薬品・医療関連品の保管・輸送を手がけるイズミ物流(本社・東京都千代田区、平川信社長)は業界で先駆けて積極的に外国人材の採用を進め、現在は42人の外国人ドライバーが在籍。帰国後のキャリア形成を含めた〝循環型採用〟を前提に採用・教育体制を整備している。
42人の外国人ドライバーが在籍、8割が中国籍
イズミ物流は1986年に創業し、2007年にダイセーグループに参画。26年6月には40周年の節目を迎え、食品物流や医薬品物流などを中心に事業を拡大している。24年には、山形県米沢市に冷凍・冷蔵・定温の3温度帯に対応する物流センター「米沢Logistics Center」(延床面積6537㎡)を竣工し、医薬品物流の基盤を強化している。
事業の拡大にあわせ、人材の確保にも注力。24年3月に特定技能第1号の対象分野に自動車運送業が追加されたことを受け、同年8月から外国人ドライバー採用の検討を開始した。現在は42人の外国人ドライバーが在籍しており、約9割が特定技能1号のトラックドライバー、残り1割は現在在留資格を変更中となっている。
採用の手法については、送出機関からの採用に加えて、日本国内の日本語学校からの採用を実施。現在在籍している外国人ドライバーのうち約半数は、従来から日本に居住している外国人材をドライバーとして雇用している。
同社に在籍している外国人ドライバーの8割が中国籍であることから、在籍中の中国人スタッフを中心とした事務職による支援体制を構築。教育面でも、月に1回定例のミーティングを実施するほか、入社後3ヵ月の間は対面での日本語勉強会も開催している。また、入社時には1泊2日での座学研修を3ヵ国語で実施するなど、日本語教育と実務講習を充実させている。
自社で登録支援機関認定を取得
同社はこうしたノウハウを活かし、外国人材の教育事業にも乗り出した。25年11月には、特定技能人材の紹介事業を展開するProud Partnersがウズベキスタンの内閣直属移民庁と進める「運送業界に特化した特定技能人材育成プロジェクト」に参加。同プロジェクトの1期生500人のうち、約300人を共同育成する体制を整えた。
ウズベキスタンの現地で、運送業特有の課題や日本の道路標識・交通ルールなどをまとめた「安全基準の教育」を8ヵ月にわたって実施。育成したドライバーは26年末以降に日本へ渡航し、トラックドライバーとしての就労を予定している。
また、自社の外国人材活用体制を強化するため、今年4月には出入国在留管理庁から特定技能制度の「登録支援機関」認定を取得した。同社でグローバル人財責任者を務める奥山健太執行役員は「支援業務を外部の登録支援機関に委託していると、1人あたり月額約2万円強のコストがかかるうえ、自社にノウハウが蓄積されない」と指摘し、「自社で登録支援機関業務を内製化することで、コスト削減に加え、さらなる人材活用にも寄与する」と意義を語る。また、今後は有料職業紹介事業の許可取得も検討し、外国人材を外部の運送会社に紹介する体制も整えていく考えだ。
採用・人材管理のノウハウを社外に発信
イズミ物流は、これまでに外国人材を採用・教育してきた実績をもとに、社外への情報発信や支援業務にも乗り出している。25年3月にはダイセーグループのDaisei VEHO WORKSと連携し、特定技能ドライバー・整備士育成サービス「DriveeLink(ドライビーリンク)」の提供を開始。外国人ドライバーと企業間のマッチングを支援するほか、面接・内定管理や採用後の入管申請・ビザの期限管理なども一気通貫で支援する。奥山氏は「当初は採用を支援するマッチングサービスとして始動し、現在は採用後の人材管理を中心に機能を拡張している」と説明。「既存の人材管理システムなどは、入管手続きや在留期間の更新手続きの期限管理などに対応していないものも多い」と述べ、「DriveeLinkは採用マッチングと採用後の人材管理を一括して行えることが大きな強みとなっている」と強調する。
さらに、今月16日には、外国人ドライバーの採用・育成・定着支援サービス「SORAMI」の本格展開を開始。外国人材の活用を検討する企業に対し、同社のノウハウを共有するほか、採用準備や採用後の教育・育成、定着などの基礎的な知識に加え、退職や入社取り消しとなった事例についても説明し、実践的な情報提供を行う。また、有料会員に対しては、3ヵ国で翻訳済みの各種帳票書類のフォーマットなどの提供を開始している。
「外国人材の活用なくして物流業界は盛り上がらない」
奥山氏は外国人材の活用について、「人材不足が進み、日本人の採用がますます難しくなっているなか、外国人材の活躍なくして物流業界は盛り上がらない」と強調し、「一時的に人材不足を補うだけでなく、外国人ドライバーの方の長期的なキャリア形成を支援し、循環型の採用・教育体制を整えていきたい」との方針を示す。
また、同じくダイセーグループのダイセーホールディングスで広報を担当する浅見真帆氏は「イズミ物流をはじめ、ダイセーグループでは外国人材の活用に積極的な企業が多い。運送会社以外でも、整備会社や倉庫会社など様々な業種で採用が進んでいる」とグループの状況を説明する。
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