カーゴニュース 2026年9月10日 第5466号

インタビュー
皆様とともに125年
たゆまぬ改善で歴史を紡ぐ
パブコ 代表取締役社長
秋山 健 氏

トラック輸送の進化に積極対応していく

2026/09/10 06:00
全文公開記事 インタビュー トラック車両・関連機器

 トラック架装大手のパブコ(本社・神奈川県海老名市、秋山健社長)は今年、創業125周年の節目を迎える。相模工場(同県同市)と近畿工場(奈良県大和郡山市)の2拠点を構え、高い技術による製品開発・製造でユーザー(運送事業者、荷主企業など)のニーズに応えている。架装メーカーとして明治時代から物流業界に携わり続けてきた同社の歴史や物流業界への施策について、秋山社長に聞いた。(インタビュアー/張替康史)

 

「大八車」製造からスタート

 

 ――創業からの歩みをお聞かせください。


 秋山 当社は1901年、木工職人だった創業者により、荷物運搬用の大型木製荷車、いわゆる「大八車」を製造・販売する「加藤諸車製作所」として、静岡・沼津で創業しました。その後、自動車が普及し始めると、それまでは人力や馬車が中心だった荷物運搬業が自動車主体の業態になると考えた創業者は、大八車で培った荷物運搬のノウハウを自動車へ応用すべく開発に着手。トラックボデーメーカーとして、日本の近代化とともに架装ビジネスに舵を切っていきました。

 

 ――まさに、国内の物流産業の先駆けとも言える軌跡ですね。

 

 秋山 はい。その後は太平洋戦争など苦難の時代もありましたが、戦後のモータリゼーションの到来とともに、トラックの架装メーカーとして成長を遂げることができました。昭和の時代はトラック輸送の大半を平ボデー車が占めており、89年には平ボデーなどのカーゴ車50万台、アルミバン5万台の生産台数を達成しました。翌90年に「加藤車体工業」から「パブコ」に社名変更し、現在に至ります。

 

 ――長い歴史を振り返ってみて、あらためてどのような感想をお持ちですか。

 

 秋山 高度成長期など大きく飛躍した時期ももちろんありましたが、戦争のように、一言では言い尽くせないほどの苦難や苦労のほうが印象深いです。この20年をみても、リーマンショックや震災、コロナ禍など、日本全体が数々の困難に見舞われました。とくにリーマンショックでは経済が大きなダメージを受け、当社も少なからず影響を受けましたし、東日本大震災では仙台工場(当時)が被災するなど打撃を受けました。そうした試練の数々も、従業員をはじめとする全員の努力で乗り越えることができました。

大八車と秋山社長 (24年のジャパントラックショーでのひとコマ)

軽量化に対する期待値は高い

 

 ――貴社の主力業務や商品についてお聞かせください。

 

 秋山 現在は、アルミバンやウイングボデー、平ボデーといったドライ系架装物の製造・販売が主力です。また、2010年にはサンドイッチパネルを採用した「軽量断熱ボデー」を製品化しました。冷凍機を取り付ければ、ドライと同等容積を確保できる保冷車としても使用できます。これら架装物の生産実績は年間で約2万台にのぼります。

 

 さらに、他の架装メーカーではみられない当社の特徴として「シャシ改造」ビジネスを展開しています。架装物にあわせ、シャシ搭載物の移設やフレーム延長、補強などを請け負っており、シャシメーカーのOEMとしてメーカー側と連携しながら設計、改造を行っています。この事業の受託実績は年間で数千台です。

 

 ――トラックに関するあらゆる事業を展開していますが、最近のユーザーのニーズをどのようにとらえていますか。

 

 秋山 ご存じのとおりトラックシャシは、排気ガス規制や安全規制の強化などに対応するため、以前と比べ重量が増しています。一方、環境や燃費のことを考えると車両全体の重量化は避けたいポイントであります。また、車両の最大積載量を重視するユーザーは多く、必然的に「架装物の軽量化」に対する期待値は上がっており、〝より丈夫で軽い〟架装物を提供することが、ユーザーの期待に応える方法のひとつととらえています。3年前には「軽量断熱ボデー」の部材をアルミから強化プラスチック(FRP)に変更しましたが、これも〝丈夫さ〟と〝軽さ〟を追求したモデルチェンジです。

 

 ――貴社ではこの10年ほど、数々の業務改善策を打ち出しています。

 

 秋山 私が最初に赴任した近畿工場では当時、「非生産的な業務の見直し=生産性の改善」が課題でした。また、相模工場では、コスト削減やリードタイムの短縮などを見据えた業務改革が急務となっていました。そこで18年には生産部門の「選択と集中」を行い、製品群の見直しを図りました。現在では、アルミバンやウイング、シャシメーカーに供給する平ボデー架装は相模工場、その他平ボデーや特殊架装は近畿工場と、役割を完全分担しています。

 

 さらに、相模工場の工程最適化に着手し、約5年かけて工場レイアウトの再編を行っています。本社に併設する相模工場は、周囲を住宅地に囲まれ敷地面積に限りがあるため、操業を続けながら効率の良い工場に改善していくことが長年の懸案事項でした。原材料費が高騰するなか、コストを圧縮しながらリードタイムを短縮するためには一刻の猶予も許されないとして、綿密な計画を立案し実行に移しました。この計画に基づき、23年には、車両の移動を極力減らして従来の2倍の処理能力を誇る新塗装工場が竣工し、稼働を始めるなど、様々な改革が進んでいます。

相模工場に新設した塗装ブース
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