カーゴニュース 2026年9月10日 第5466号
――社長就任後も改善・改革に意欲的と伺います。
秋山 現職に着任して間もなく「開発本部」を組織しました。従来は、ユーザーの要望を取り入れながら架装物を製造し提供するスタイルが一般的でしたが、価格やリードタイムを考慮すると、それが必ずしもユーザーと当社の双方にとっての最適解ではないのではないかと考えました。そこで同本部を組織し、当社からユーザーに提案していく「提案型」ビジネスにシフトすることにしました。材料の素材から強度に至るまでの研究開発を行い、ユーザーニーズを的確にとらえることにフォーカスしていく体制としました。さらに22年には技術力と営業力強化を打ち出し、デジタル技術を取り入れながら、品質向上と工程のスピードアップを図っています。
――そうしたなかで誕生した製品にはどのようなものがありますか。
秋山 「電動チェーンユニット搭載ウイングボデー(電動チェーンウイング)」と「庫内クーラーユニット」です。「電動チェーンウイング」は、ウイングの開閉機構を油圧から電動チェーンに変更した製品で、ボデーへの負担を軽減し、ゆがみや故障リスクを低減するボデーです。また、「庫内クーラーユニット」は、荷物を冷やすのではなく荷室で作業するドライバーの暑さを和らげる製品で、「SARA」の名称で23年に発売しました。トラックドライバーの業務はワンマンが主体だと思いますが、猛暑のなかでの1人作業には常にリスクが付きまといます。高齢者ドライバーも増えつつありますが、老若男女問わず、ドライバーの健康管理を最優先にサポートする商品として、熱中症対策の一助になるものと考えています。
「運ぶ姿」の進化に柔軟対応し業界に貢献
――今後の物流業界にどのように貢献していきますか。
秋山 人々の暮らしがある限り「モノを運ぶ」業態は決してなくなりません。しかし、人的リソースの不足や運送業務の多様化、様々な技術革新などにより、大八車がトラックに変化したように「運ぶ姿」は進化していくでしょう。たとえば、「トラックの自動運転」の実現に向けた研究が多方面で進められていますが、高レベルの自動運転を実現するためには車両側にさまざまな機器が必要となり、シャシ重量もさらに重くなると想定され、架装物のさらなる軽量化がわれわれ架装メーカーに課されることが考えられます。その時こそ、「開発本部」の力が試されるときであり、ノウハウを最大限に発揮して物流業界に貢献していきたいと思っています。
また「自動運転」に象徴されるように、ドライバーをはじめとする労働力不足も深刻さを増すでしょう。外国人の活用などが進むものとみられますが、事業者の人材確保に貢献するため、「電動チェーンウイング」や「SARA」のような、ユーザー目線に立った製品開発を継続していきます。加えて、万が一架装物に不具合が発生した時のリカバリー力向上のため、メンテナンスのネットワークを強化していく必要もあり、現在検討を進めています。
――最近のトラック製造業界を取り巻く環境もだいぶ変化しています。例えばアーチオンの設立についてどのようにお考えですか。
秋山 日野自動車と三菱ふそうトラック・バスが経営統合し「アーチオン」が設立されるなど、トラック製造業界の動きが活発化しています。このアーチオングループの発足は日本のトラック業界全体にとって大きな意義を持つものと認識しています。トラックメーカー各社がより効率的に設備投資や新技術の開発を進められるようになり、より優れた製品やサービスの提供が可能になることで、最終的には物流業界全体の発展・活性化につながることを期待しています。
――最後に今後に向けたメッセージをお願いします。
秋山 ユーザー企業はもちろんのこと、パートナー企業、従業員のいずれが欠けても、企業は成長できませんし、機能しません。この9月には周年事業の一環として、従業員とその家族を対象としたイベントを開催します。当社が125周年を迎えられたのも、多くの方々に支えていただいたからこそであり、関係者の皆様には心より感謝いたします。125周年は通過点のひとつです。今後も皆様と一緒に成長し、歴史を刻み続けていきたいと思います。
秋山 健(あきやま・けなん)
1983年生まれ。アゼルバイジャン共和国出身。2005年アゼルバイジャン国立工科大経営管理工学科卒、09年早大院創造理工学研究科卒。在アゼルバイジャン共和国日本大使館経済協力部などを経て、17年パブコ入社(近畿工場長)。20年取締役生産本部長、21年から現職
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