カーゴニュース 2026年9月29日 第5470号
改正物流効率化法が今年4月から全面施行された。一定規模以上の荷主に物流統括管理者(CLO)の選任と物流効率化にかかわる中長期計画の策定・提出を義務付け、該当する特定荷主等は約3200社となる見込み。特定荷主は大企業が中心で取引先の裾野も広いため、CLOが社内外で物流改革をリードし、それがサプライチェーン全体に波及すれば、〝物流革新〟が加速する期待がある。一方、CLOは日本の企業経営ではまだなじみが薄く、候補者の絞り込みや育成、適任者の不在に課題を抱えている企業も多い。各社の先行事例も参考に、CLOのポジションと使命の実像に迫った。
他部門と連携して物流改革を推進
CLOの選任は24年5月に成立した改正物流効率化法に基づく、目玉の施策のひとつ。年間取扱貨物重量が9万t以上(着荷主としての引き取り量も含む)の荷主を「特定荷主」と指定し、CLOの選任と物流改善・効率化に関する中長期計画の策定・報告を義務づける。特定荷主は、発荷主が中心の「第一種特定荷主」、着荷主が中心の「第二種特定荷主」、コンビニなどフランチャイズチェーン本部の「特定連鎖化事業者」の3つのカテゴリーから成る。
CLOが行うべき業務は改正物流効率化法に定められており、①中長期計画の作成(物流効率化の目標・施策の策定)②トラックドライバーの負荷低減に向けた事業運営方針の作成と社内体制の整備③定期報告の作成(国への報告書類の作成)④社内関係部門(開発・調達・生産・販売・在庫・物流等)間の連携体制の構築――など。より具体的に、「トラック運送での荷待ち時間の短縮、荷役時間の短縮、生産性向上を主導する役職者」であるとも規定されている。
CLOは、物流適正化と生産性向上に向けた業務全般を統括・管理する責任を担う。物流部門の責任者である「物流部長」との違いは、物流部門だけでなく、開発・調達・販売といった他部門や顧客、物流会社などと連携し、十分なリードタイムの確保をはじめ物流改革を推進する役割が求められること。CLOについて、「重要な経営判断を行う役員・執行役員クラス」から選任することが推奨されているのは、社内外に「顔が利く」ことが重要な要素であるためだ。
約5割が経営層、物流部門のトップも
8月27日時点で、CLO選任が必要となる特定荷主・特定連鎖化事業者の指定企業は延べ3257社。国が想定していた約3200社に近似する社数となった。第一種特定荷主・第二種特定荷主など双方に該当する企業もあるため、重複を除けば実数は2144社が特定荷主・特定連鎖化事業者に指定されたことになる。すべての指定企業がCLOを選任すると、中長期計画の提出期限である10月までに2000人以上のCLOが選任される。なお、CLOの未選任や義務違反に対しては100万円以下の罰金や企業名の公表という罰則が設けられている。
日本ロジスティクスシステム協会(JILS)が6月29日に公表した調査の結果によると、CLOの職位としては、役員級(専任)は6・2%、役員級(兼務)は47・4%、部長級以下は17・1%で、半数以上の企業が経営層をCLOとしていた。また、Hacobu(ハコブ)の調査では、CLOの属性で最も多いのが「従来の物流部門のトップ」(36・4%)。次いで、「経営企画などの全社横断部門の役員クラス」が26・0%、「主力事業のトップ」が13・0%、「社長・副社長」が11・7%だった。
本紙編集部が独自調査した企業50社のCLO選任状況をみると、執行役員クラスが31人で全体の6割を占め、取締役兼執行役員が9人、取締役が6人となり、CLOを兼務する取締役社長と副社長執行役員がそれぞれ1人。部長級役職者が1人、親会社のCLOを兼任する物流子会社社長が1人と並んだ〈次ページ表〉。CLOに選ばれた取締役や執行役員は、SCM本部長や生産本部長など流通・生産を統括する役職が比較的多かったが、ロジスティクス本部長・物流部門統括など物流部門の役職も含まれていた。
CLOが経営層から選任される理由は〝経営視点〟だ。「物流部長の責任範囲は損益計算書(PL)の『物流費』をいかに下げられるか。一方、CLOの仕事の本質は貸借対照表(BS)やキャッシュフロー計算書(CF)を含めた財務諸表全体のベストなバランスを探ることが必要」(食品)との見方がある。視座を引き上げ、俯瞰的な視点も求められ、「物流部長は『現場最適』、ロジスティクス部門統括は『全社最適』、CLOは『社会最適』を実現することが求められる」(日用品)との指摘もある。
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