カーゴニュース 2026年11月5日 第5480号
三菱倉庫(本社・東京都中央区、斉藤秀親社長)は10月30日、阪急阪神ホールディングスとの間で、阪急阪神エクスプレス(本社・大阪市北区、吉本敏社長)の全株式を取得する株式譲渡契約を締結した。取得価額は1213億3700万円(うちアドバイザリー費用12億2700万円)で、2027年3月期第4四半期中に株式を取得する。フォワーディング(FWD)大手である阪急阪神エクスを子会社化することで、両社のFWD事業の売上高合計は1688億円となり、国内第4位のポジションに高まる。2日に会見した三菱倉庫の斉藤社長は「今回のM&Aは当社にとって大きな意思決定。大きく変化する事業環境のなかで、次のステージに飛躍するための成長投資となる」と述べ、株式取得の意義を強調した。
売上高合計3800億円超、海外売上高比率31%に拡大
株式取得に先立ち、阪急阪神HDは阪急阪神エクスの株式34%を保有しているセイノーホールディングスから株式を254億7900万円で取得し、100%子会社化したうえで三菱倉庫に全株式を譲渡する。なお、セイノーHDは27年3月期決算で関係会社株式売却益として約120億円を計上する予定。
阪急阪神エクスの海外法人などを含めた売上規模は25年度で約1064億円(阪急阪神エクス単体の売上高は454億5400万円=25年度)。三菱倉庫の25年度の売上高との単純合計では3813億円となり、不動産事業を除く物流事業では3450億円の規模まで増える。また、阪急阪神エクスの主業であるFWD事業では、両社合計の売上高は1688億円(航空648億円、海上1040億円)に拡大し、NIPPON EXPRESSホールディングス、郵船ロジスティクス、近鉄エクスプレスに次ぐ国内第4位の位置まで浮上する。
三菱倉庫が現行経営計画での重点戦略に掲げる「海外事業の拡大」にも、今回のM&Aは大きく寄与する。25年度決算ベースでの三菱倉庫グループの海外売上高は544億円、売上高に占める比率は22%だったが、阪急阪神エクスグループの海外事業売上高約632億円が加わることで単純合計での売上高は1176億円となり、海外売上高比率は31%まで高まる。
「航空+海上+ロジスティクス」の一気通貫PF構築へ
海上FWDや倉庫を中心としたロジスティクス事業に強みを持つ三菱倉庫は株式取得後、とくに航空FWD事業に強みを持つ阪急阪神エクスとの一体化により、「航空+海上+ロジスティクス」による一気通貫プラットフォームの構築を目指す。具体的なシナジーでは、「サプライチェーン一貫提案」「グローバル案件の取り扱い拡大」「相互の顧客基盤を活用したクロスセル推進」「FWD事業におけるバイイングパワー(調達競争力)強化」「拠点・オペレーションの相互活用」の5点を挙げた。
なお、株式取得直後は、のれん償却の負担などにより案件単体での損益は一時的にマイナスになる見込みだが、3年をメドにEPS(1株あたり純利益)へのプラス寄与を目指す。中長期では、同案件のROIC(投下資本利益率)が資本コストを上回る水準を目指していく。
斉藤社長「航空FWDなどで事業補完性高い」
2日に都内で会見した斉藤社長は、「当社に求められるものは、国内、海外を含め顧客のサプライチェーン全体を最適化・強じん化し、安定性を支え続けること。そのためには、国際輸送における専門性とグローバルネットワークをさらに拡充する必要がある。阪急阪神エクスはこの分野で高い知見と強固な事業基盤を有しており、今回のM&Aにより、両社の強みを融合させることで、サプライチェーン全体を担う企業として進化し、陸海空の輸送から倉庫、流通加工までを担うトータルロジスティクスを提供できる体制を強化することができる」と述べた。また、「当社は医薬品をはじめ、モビリティや電機、半導体など高付加価値貨物の取り扱いが多い。阪急阪神エクスはとくに航空貨物の取り扱いを得意としており、高付加価値貨物は航空で運ばれることが大半であるため、競争優位性を高めることができる」と説明し、事業上の補完性が高い点を強調した。
FWD事業で国内4位に浮上する点については「量的な拡大に加えて、機能面での拡大を強化することができた。まずは、このポジションで顧客に提供できる価値を高めていきたい」と述べた。
さらに、「今回のM&Aは当社にとって大きな投資。だからこそ、将来への期待だけでなく、具体的な数字と規律を持った経営成果で応えていかなければならない」と説明し、今期末をメドに買収後の具体的な体制や施策、主要KPIや目標値を示す方針を示した。
今後は、株式取得時点で、阪急阪神エクスの社名を変更する。さらに、3年をメドに両社の組織を統合し、シナジー創出を加速させる。海外法人については、各拠点の特性などを踏まえながら統合を含めた再編を検討していく。また事業運営の最適化を図る観点から、中長期的にエリア別の統括組織を設けていく方針を示した。
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