「厚木サービスセンター」

カーゴニュース 2024年11月28日 第5296号

物流業界でM&Aが活発化 成長戦略の有力な選択肢に

小山企業
神奈川県の運送会社をグループ化、70台体制に

倉庫会社主導の共同配送サービスを拡大

2024/11/28 07:00
全文公開記事 倉庫・物流施設 効率化・改善

 小山企業(本社・埼玉県戸田市、小山嘉一郎社長)は、グループで輸送機能を受け持つルートケーツーが昨年9月に神奈川県相模原市を地盤とする運送会社の昇領を子会社化し、1都3県の自社配送網の拡充を図った。運送事業の強化により倉庫会社主導の共同配送サービスを確立し、「運べる倉庫」としての存在感を高めていきたい考えだ。

 

運送事業の強化と連動した拠点展開

 

 織物業から発祥し、1965年に貸倉庫からスタートした小山企業は、営業倉庫、運送、流通加工と業容を拡大し、2025年8月に創業60周年を迎える。現在、物流の主要機能である倉庫・輸送・人材・加工・ITの機能を分社化し、それぞれの機能に特化した事業拡大と技術革新を進め、グループシナジーの創出を目指している。

 

 小山企業の近年の拠点展開は運送事業の強化と連動している。今後事業を拡大していくには、発荷主・倉庫・運送会社が着荷主の緊密な情報連携がカギになると考え、倉庫会社主導の共同配送を発想。この取り組みに賛同したダイワコーポレーションが首都圏下の大規模商業施設・路面店向けの納品業務を主力としているグループ会社のルートケーツーの配送網にダイワコーポレーション取引先の荷物を合積みする形で共同配送を開始。その後20年12月にダイワコーポレーションがルートケーツーに出資、協業体制を築いた。

 

 さらに、小山企業は23年4月に「厚木サービスセンター」(神奈川県愛川町)を開設。ルートケーツーの営業所も併設し、神奈川西部エリアでの配送網の充実を図った。

 

 この動きに反応し、神奈川地区の配送に課題を抱えていた同業の倉庫会社も共同配送に参加。神奈川北部、東京・町田、八王子エリアへの配送距離を短縮することで、回転率の向上と運収のアップも目指している。

納品業務を得意とするルートケーツー
昇領の大型トラック

各地区配送拠点結ぶ幹線輸送網を強化

 

 運送事業の拡大を加速させるため、23年9月にルートケーツーを通じて相模原に本拠を置く昇領の全株式を取得し、同社をグループ化。同社は大型車を中心に35台を保有し、大手物流会社の1都3県の幹線輸送をおもに展開。2t車によるルート配送が中心のルートケーツーとは業態が異なり、相互に機能を補完できると判断した。

 

 資本提携の目標として掲げたのが、①神奈川県中西部の輸配送網の拡充②各地区配送拠点を結ぶ幹線輸送網の強化③勤怠・配送管理の統合・高度化による「2024年問題」対応の実現――の3つ。昇領が加わることで、小山企業グループとしてのトラック台数は70台体制の規模に拡大した。

 

 その後、小山企業の「厚木サービスセンター」に昇領の営業所を誘致し、業務の融合も進めている。昇領は倉庫会社のグループに入ることで、倉庫案件についても荷主へのサービス提供が可能になったほか、ルートケーツーが従来対応できなかった中距離・スポットの配送案件を昇領が担うなど外注コストの抑制にもつながっている。

 

同じ納品先の倉庫の荷物を共同配送

 

 グループ運送体制を強化し、小山企業では共同配送サービスの提案を本格化する。ダイワコーポレーションとの協業モデルを水平展開し、複数倉庫会社が連携し、同じ納品先の倉庫の荷物を共同配送するスキームで、個建料金で荷物・物量の引き受け制限をなくし、エリア単位での店間移動・返品回収にも対応する考えだ。

共同配送サービスの仕組み

 共同配送サービスの実務を担うルートケーツーが得意としているのが納品対応だ。「着荷主カルテ」として商業施設・駅ナカ・繁華街や有効制限区域などを事前に調査し、ドライバーに共有。トラブルを未然に防ぎスムーズな納品を行う。倉庫会社による共同配送を支援する物流DX基盤の構築も進め、サービスの競争力を高めていく。

小山社長
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