荷待ち時間の短縮が努力義務に

カーゴニュース 2025年1月16日 第5308号

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2025年、物流関係の主な法制度改正は…

「改正物流法」の規制的措置が段階的施行へ

2025/01/15 17:00
FOCUS 行政 その他

 「2024年問題」が注目された24年に続き、2025年も物流関係の法制度改正が複数予定されている。最も大きいものは改正物流法に基づく規制的措置の段階的施行だ。物流効率化に取り組む努力義務が課され、大手荷主や物流事業者にとって25年度は、来年度以降、「特定事業者」としての義務を果たすための準備期間として重要な年となりそうだ。

 

【改正物流法、規制的措置が施行】

 

 24年5月に公布された改正物流法に基づき、25年4月から、物流効率化に向けた新たな規制が導入される。第1弾としてすべての荷主に対し、①荷待ち時間の短縮②荷役時間の短縮③積載率の向上――の措置を講じる「努力義務」が課せられる。25年度は努力義務の判断基準が国から提示され、各社が貨物重量の算定を行うことになる。

 

 なお、第2弾として26年度以降、荷主、物流事業者のうち一定規模以上の「特定事業者」に対して中長期計画の策定や定期報告等を義務付ける。特定事業者のうち荷主には「物流統括管理者(CLO)」の選任を義務化。なお、中長期計画の実施状況が不十分な場合は、国が勧告・命令を行う。特定事業者に該当する企業は、25年度から中長期計画やCLO選任の検討を進める必要がありそうだ。

 

【高速深夜割引料金を見直し】

割引適用時間の変更

 7月頃から高速道路の深夜割引が変わる。深夜割引適用待ちの車両の滞留などの課題を踏まえ、割引が適用される時間帯の走行分の料金を対象として割り引くことや、トラックドライバーの負担軽減を図るために見直しを行うもので、システム整備に時間を要していることから、当初3月末頃の開始予定時期を7月頃に延期した。

 

 具体的には、割引適用時間帯を現在の「0時~翌4時」から、「22時~翌5時」に拡大する。また、適用時間帯に走行すれば全走行分が割引されているのを、見直し後は、適用時間帯に走行した分のみの割引とする。「速度超過」などの無謀な運転を抑止するため割引適用距離に上限も設定。運用開始後5年程度、激変緩和措置も実施する。

 

 

【トラック新車に歩行者対策】

バックアラームの取り付け例

道路運送車両の保安基準の一部改正により、25年9月以降に発売される車両総重量3・5t超のトラックやバスの新型車を対象に、歩行者対応の衝突被害軽減ブレーキ搭載を義務付ける。継続生産車については28年9月からの適用となる。また、25年1月からは、新型車に対する後退時に警報音を発する車両後退通報装置(バックアラーム)が義務付けられた。

 

【次期NACCS更改】

 輸出入申告に使うNACCS(輸出入・港湾関連情報システム)の更改が10月に行われる。越境EC関連など急増する輸入貨物への対応として、改正された関税法施行令第59条に対応するため、輸入申告項目に「国内運送先」や「通販貨物に該当するか否か」等を追加する。

 

 また、電子商取引の拡大やコロナ禍を背景に、通販貨物を海上貨物として輸入することが増加しており、小口で迅速な通関が求められる貨物の性質等を踏まえ、税関では海上でも簡易な輸入通関の制度を導入。これに伴い、簡易・迅速に通関手続きを行うため、販売者(荷送人)、荷受人、貨物等に関する事項を申告前に提供する業務を新設する。

 

【次期通常国会で下請法改正へ】

 

 公正取引委員会が進めている下請法改正案は、25年の通常国会に提出される見込みだ。荷主と運送事業者間の取引に下請法を適用することも盛り込まれるとみられ、独占禁止法に基づく「物流特殊指定」よりも、判断基準が明確で争点が生じにくいため、荷主の違反行為に対しての措置を迅速にとりやすくなる。 

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