カーゴニュース 2025年2月27日 第5319号
アサヒロジ(本社・東京都墨田区、児玉徹夫社長)は21日、輸送や庫内業務の協力会社経営者に向けた2025年事業方針の説明会をオンライン方式で開催した。自社の理想像として、貨物を「運びきる企業」であることに加え、「プロフェッショナルな物流企業」へと進化することを目指すとした。売上高について24年度は1002億円となり、目標額の1000億円を達成。25年は1100億円に引き上げ、27年に1200億円とする目標を掲げた。
協力会社が〝納得感〟のある運賃・料金へ
説明会の開始にあたって挨拶に立った児玉社長は「昨年3月の中小企業庁による調査で、当社は価格交渉において積極的ではないという大変厳しい評価を受けた。昨年の事業方針説明会の場で協力会社様との運賃・料金の協議を誠実に行うと約束し、進めてきたところだが、十分ではないと指摘を受けた。これまでの価格協議が一方的なものであり、不十分だったことを深く反省し、心よりお詫び申し上げる」と謝罪の意を表した。そのうえで「中企庁の指摘を受けてから9~10月に495社の協力会社様を訪問し、価格協議を実施した。25年においても直接訪問による価格協議を行うとともに、附帯作業料金や高速道路利用料の支払い基準を策定する」と述べ、価格適正化の取り組みを説明。さらに児玉社長は「協議の場では意見をしっかりと聞くことで納得感のある価格の適正化に努めていく。当社は協力会社の皆様に支えられている。今後ともパートナーシップを強化させていただくことをお願い申し上げる」と述べ、取引改善への意欲を示した。
「ワン・アサヒ」としてグループ連携推進
同社は25年度の事業方針はアサヒグループの連携による「ワン・アサヒ」の精神のもと「挑戦的な目標を自分たちで立ててやり切る」「さらなるプロフェッショナルな物流企業へと進化を遂げる」ことを理念に定め、①安全・健康・コンプライアンス経営②競争力の強化③人財・組織の強化④企業風土の変革――を基本理念に定め取り組みを推進する。競争力強化では、25年の売上高1100億円を目標に据え、アサヒグループの全物流を受託する体制のもと実運送や庫内作業を担う物流事業者との連携強化を図り、シナジー創出により売上高を拡大する。外販貨物では、アサヒグループと親和性の高い外販の荷主との取引を拡大する。また、営業DXを活用し全国規模の〝全員営業〟の精神で3PLや卸など新規顧客の取り込みに注力する。
輸送協力会社とは、できるだけ直接的な取引を行い、輸送の多重構造の改善を図るとともに、DXによる積載率向上に取り組む。運行効率向上に向け、卸・小売とも連携するとともに、モーダルシフトや複数の輸送モードを活用したモーダルミックスを推進する。
「荷待ち・荷役時間」の削減を1年前倒し
物流改善の取り組みでは、自社拠点での荷待ち・荷役時間削減に焦点を当て、27年度までに1回につき1時間を超える荷待ち・荷役時間の発生をそれぞれ「ゼロ」にすることを目指す。昨年は削減に向けた取り組みの前提として荷待ち時間の可視化を図り、アサヒビール、アサヒ飲料の工場と配送拠点44ヵ所を対象に可視化を100%達成した。その結果、22の拠点で2時間以上の待機が発生していることが判明し、出荷増による能力不足や出荷データの入力待ち、ピッキング待ちなどを課題として把握し、改善に取り組んでいる。待機解消の方策では、27の拠点で車両の入場ダイヤ化を図っており、今後は取り組みのさらなるブラッシュアップを進める。改正物流効率化法は、28年度までに荷待ち・荷役時間の合計を2時間以内とする改善基準を設けているが、アサヒロジは取り組みを強化することで実現を1年前倒しする方針だ。
具体的な物流拠点施策として今月に「東京西支店」を新設したほか、グループの物流を中心に拠点事務や庫内作業のムリ・ムダ・ムラをなくし標準化やシステム化を図る「3Mプロジェクト」を推進する。DXによる生産性向上も重要テーマとし、物流作業の生産性や収支管理を行うツールを活用したシステムを構築し、さらなる生産性向上を実現していく。
CO2排出量の削減など環境面での取り組みも強化する。水素燃料電池車(FCV)の小型トラックを2台増車するほか、リチウムイオンバッテリーのフォークリフトを25台導入する。また、幹線輸送の省力化・自動化に取り組むNEXT Logistics Japan(NLJ)などと連携し、自動運転トラックの実装に向けた取り組みを推進する。さらに、再生エネルギーを100%活用する拠点体制の構築に取り組む。
なお、方針説明会は2部構成で実施。第2部では2つの講演を行った。国土交通省物流・自動車局国際物流室の牧野武人室長が、今後順次施行される物流改正法に基づく国交省の施策や、政府の物流革新政策を説明した。また、コンサルタント会社KACHIEL(カチエル)の久保憂希也氏が「日当を活用した従業員満足度の向上」をテーマに講演した。
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