カーゴニュース 2025年3月4日 第5320号
日本郵便(本社・東京都千代田区、千田哲也社長)は2月26日、トナミホールディングス(本社・富山県高岡市、髙田和夫社長)の株式に対する公開買付けを開始すると発表した。トナミHDの創業家である綿貫家と同社経営陣、日本郵便の3者による共同コンソーシアム会社を通じてトナミHDの株式100%を取得するマネジメント・バイアウト(MBO)を実施する。株式の買付け価格は1株1万200円で、取得総額は約926億円。うち日本郵便は約750億円を出資する。MBO成立後、トナミHDは東証プライムでの上場を廃止し、株式を非公開化する。
トナミHDは、物流事業を取り巻く経営環境が変化する中で、上場を維持するメリットが相対的に低下していると判断。当初は経営陣と創業家による非上場化の道を模索したが、さらなる成長のためには外部の経営資源も活用することが必要と判断し、昨年6月頃から日本郵便との協議を開始した。
MBOに向け、3者の頭文字を冠した共同コンソーシアム会社「JWT」を設立し、同社がトナミHDの全株式を取得するスキームを構築。JWTは今後、社名を「JPトナミグループ」に変更し、MBO成立後はトナミHDが同社を吸収合併する。これにより、日本郵便はトナミHDの株式99・7%を保有し、同社を連結子会社化する。子会社化後も、創業家および経営陣は引き続きトナミグループの経営を担い、執行体制は変更しない。なお、株式買付け期間は2月27日から4月10日までを予定する。
JPロジとの協業などBtoBでシナジー創出へ
トナミHDは、主力事業会社であるトナミ運輸を中心に特積み事業を幅広く展開。本社のある北陸エリアや関東、中部に強い事業基盤を持つ。2024年3月期の連結売上高は1421億円、営業利益58億円。一方、日本郵便は国内BtoB物流領域でJPロジスティクスを有しており、両社の拠点などを統合・最適化することで事業基盤を強化していく。また、日本郵便が西濃運輸などと取り組んでいる幹線輸送の共同運行とも融合していくことで、「2024年問題」を見据えた輸送リソースの有効活用も見据える。このほか、日本郵便グループのトール社との協業による国際物流事業の強化にもつなげていく。
26日にオンラインで会見した日本郵便の行木司執行役員は、「日本郵便のBtoCによる国内ラストワンマイルには強みを持つが、企業間物流などBtoB領域は手薄だった」と説明。トナミHDを子会社化することで、「関西エリアを地盤とするJPロジスティクスと連携することで、範囲(エリア)や密度、規模の観点で大きな協業効果を生むことができる」との見通しを語った。
購読残数: / 本
恐れ入りますが、ログインをした後に再度印刷をしてください。