カーゴニュース 2025年6月5日 第5344号
ちるさくら海あおければ海にちる
窓秋
テレビの「ケンミンショー」で各地の人たちが「そんなもの売るほどあるぞ」など得意そうに言う。まずお目にかかれない、あるいは高すぎて買えない各地特産の超高級果物とか超高級魚などの話だが「買ったことなどない。誰かがくれる」とか。そう言えば一昔前に医大の外科の教授だった亡き義兄が「秋になるとマツタケが山ほど届く。売るほどある」と言っておりました。跡継ぎの医者の息子が心配で親が送ってくれるのだそうです。無事、とにかく大学を卒業し、医師の国家試験に合格しなければならない。藁にもすがる思いで教授連中にマツタケを送ってくれるのです。こういう場合の「売るほどある」というのは「自慢語」であります。これ以外に「自虐語」とか「謙遜語」があり、まあ、使いようによっては「売るほどある」というのは自虐語となることもあるが、おおむね自慢話。コメが足らない、価格が高騰している非常時に農水大臣が言う言葉ではない。受け狙いだろうがあまりにも低レベル。僕は思うのですが、代議士は民主主義だから「無教養代表」、「アホ代表」がいても構わないが、行政官の大臣になろうという人には何かの学力試験を課すべきではないか。公務員は何らかの学力試験を受けているはずです。
言葉というのは「社会に認められた意味を持っており、言う人の心を示すもの」だそうです。「言の葉」というように感情や人格や思想を示すものです。だから大切です。そういえば最近は聞かれなくなったが「送料無料」はよくないから、「送料当社負担」とか「送料込み」にしろ、言葉として送料無料は物流を軽んじているから「よくない」という主張。通販業界では送料無料をやめたところもあるが、今でも相変わらず使われている。まあ、消費者たちは「送料無料は物流費がかかっていない」とか「当社負担と言っても販売価格に組み込まれている」と思っているはずです。JILSの今年の調査では全産業の売上対比の物流費は5%強と出ていました。消費財では7~8%でしょう。これを言葉としてどう解釈するか。物流費などかかっていないと考える人はいない。でも、この言葉は話題となりました。もう問題とはならない。今はどうだろうか。
僕は改正下請法などと新聞には出ているがこれはどうも引っかかる。下請けという言葉です。トラック業は立派に独立した産業ではないか。決して下請けではない。独立の企業として荷主と対等な立場で商売をしているはず。法律の言葉だから言っても何となく引っかかります。
「二刀流」という言葉がある。大谷翔平なら誉め言葉だろうが一般にはよい意味にも悪い意味にも使われる。近所の駅にでかいポスターが貼ってありました。飛鳥交通グループなるタクシー会社の乗務員募集の広告です。「私は仕事+やりたいことの二刀流」というコピー。つまり、ここのドライバーになると「まとまったプライベートの時間がとりやすい」というわけです。この二刀流という言葉はドライバー募集に効果があるかどうか。ところで「荷主」なる言葉について「荷主はご主人様で我々は家来か?」と言っていたあの話はどうなった。
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