カーゴニュース 2025年10月30日 第5383号

金子国交大臣/専門紙会見
次期「物流大綱」で物流革新の新機軸を

サプライチェーンの基盤強化に注力

2025/10/29 17:00
全文公開記事 行政

 金子恭之国土交通大臣は24日、就任後初の専門紙記者会見に応じ「16年ぶりに自由民主党の大臣として国交省に戻ってこれたことは光栄であり、重い責任を感じている。諸課題にしっかり取り組んでいく」と表明した。物流分野に関しては、2030年度までを物流革新の「集中改革期間」と位置づけ、山積する課題に対応し、物流革新の新機軸を検討するほか、国際競争力の強化に向けたサプライチェーンの基盤強化を図るとした。

 

トラック運賃の適正収受へ荷主に働きかけ

 

 金子国交大臣(写真)は「2000年に衆議院議員に初当選し、先月在任25年の節目を迎えた。この間の国土交通行政との関わりは、08~09年の国土交通副大臣をはじめ、衆議院国土交通委員長、同委員会の与党筆頭理事を6回務めた。このたび16年ぶりに自由民主党の大臣として国交省に戻ったことは大変光栄であり、重い責任を感じている。課題は山積しているが現場を歩き現場の声を聞きながら、しっかりと取り組んでいく」と抱負を述べた。

 

 物流課題の解決に向けた取り組みについて、今年5月に国交省と経済産業省、農林水産省の3省合同の有識者検討会を設置し、30年度を最終年度とする次期「総合物流施策大綱」の策定に向けた検討を開始したと報告。基本方針として「輸送力不足に対応するための物流革新の新機軸の検討や、輸送力見通しの再検証を行うとともに、我が国の国際競争力の強化に向けたサプライチェーンの基盤強化を図る。また、災害等の有事に備えた強靭な物流の構築と確保に取り組む」と説明した。年内をメドに基本方針を示す提言を取りまとめ、次期「物流大綱」の策定を進めると話した。

 

 トラック輸送業が抱える課題については「ドライバー不足と高齢化が進んでおり、担い手不足が深刻だ。運送業への入職者が少ない要因は、他産業平均と比べて労働時間が2割程度長く、賃金が1~2割程度低い労働環境がある」と述べ、働き方改革を継続し、労働時間の短縮を図るとともに、賃金引き上げの原資となる運賃の適正収受に向け「国交省のトラック・物流Gメンが荷主に改善を働きかける」とした。加えて、事業者がDXなどを活用することで生産性向上を図り、収益増につなげることが重要だと指摘した。

 

「国際コンテナ戦略港湾」政策を継続

 

 海事・港湾政策に関しては「我が国の貿易量の99・6%を海上輸送が担っており、海運は国民生活と経済を支える不可欠のライフラインだ」と強調。次世代燃料やAI、自動運航船など新技術の導入により世界の造船・海運市場で優位を確保する取り組みを進めるとともに、船員不足に対応し、海運・造船業の持続的発展を図るとした。港湾分野では、従来の国際コンテナ戦略港湾政策を継続する方針で、東南アジアなどからの広域集貨のための輸送ルートを構築などの「集貨」、流通加工・再混載など複合機能を備えた物流施設の立地支援などを行う「創貨」、船舶の大型化に対応した大水深・大規模コンテナターミナルの整備や遠隔操作クレーンの導入支援などによる「競争力強化」の3本柱の政策を実施する。港湾物流の担い手不足や脱炭素化などの課題には荷役機器の自動化やカーボンニュートラルポートの整備などDX・GXを推進する。

 

「成田空港第2の開港プロジェクト」推進

 

 航空分野では、首都圏空港の成田空港でのB滑走路の延伸とC滑走路の新設などを含む機能強化や新旅客ターミナルの整備、貨物施設の集約などを推進する「成田空港第2の開港プロジェクト」を含め成田・羽田を合わせて年100万回の発着容量を確保する。また、中部空港の代替滑走路の整備や地方空港の滑走路延長など機能強化を実現し航空ネットワークの充実を図る。併せて空港ターミナルの利便性向上やDX・GXによる施設の自動化、脱炭素化を進め、人材不足への対応に取り組む。

続きを読む

購読残数: / 本

この記事は登録会員限定です
この記事は有料購読者限定記事です。
別途お申し込みをお勧めします。
  • バックナンバー

日付で探す

* 毎週火曜日・木曜日発行。(祝日は休刊)

第一倉庫株式会社 日本通運 uprのピーアール。 鉄道貨物協会 第一工業株式会社 アライプロバンス ジェイエスキューブ プロテクティブスニーカー協会 建荷協 富士物流のホームページにニュースを提供中!! 日通NECロジスティクス提供 物流用語集