カーゴニュース 2025年7月17日 第5356号
イーコース(本社・東京都中央区、菊竹玉記社長)、三信倉庫(本社・東京都中央区、大竹英明社長)、ダイワコーポレーション(本社・東京都品川区、曽根和光社長)、協和運輸倉庫(本社・仙台市宮城野区、髙橋大輔社長)は6月25日に「電源ドナー協会」を設立し、7月14日に設立発表会を開催した。災害時をはじめ長期間の停電が発生した際に、物流企業が所有するフォークリフトやトラックから、医療的ケアが必要な患者の人工呼吸器などの医療機器に電源を無償で供給する活動を展開。今後、同活動に協力する物流企業のネットワークを全国に拡大することを目指す。
災害発生時、人工呼吸器などを使用する災害時要援護者は通常の避難所を利用することが困難で自宅避難するケースが多く、電源確保の面での不安を抱えていた。産業用バッテリー関連のサービスを提供するイーコースおよび倉庫会社3社が発起人となり、一般社団法人として「電源ドナー協会」を設立し、災害時の給電拠点「電源ドナー」の啓発と普及に取り組む。
「電源ドナー」は、イーコースが開発した、災害時要援護者に対し給電拠点の情報を知らせるアプリ。この「電源ドナー」を活用し、地域の物流企業が保有する電動フォークリフトの電力を非常用電力として無償で提供する。大型フォークリフト1台で約20kwh、スマートフォン約2000台が充電可能。AC変換することで、医療機器・生活支援機器に直接給電することができる。また、給電拠点まで移動することが困難な災害時要援護者に対しては、物流企業が保有するEVトラックや社用車などを避難所や自宅付近まで移動し、電源を供給する。
二次利用バッテリーのレンタルも
再利用されたエコなバッテリーである「デコ電池」のレンタル事業も展開する。本来の用途で使用基準を満たさなくなった鉛バッテリーを二次利用し、災害時に非常用電源を必要とする福祉施設などに月額でレンタルする。貸し出したバッテリーはイーコースが充電容量を遠隔で監視し、利用者が充電することなく適切な充電容量を維持する。
発表会では、イーコースの菊竹氏が電源ドナーの発案の背景として、「東日本大震災の際、非常用電力の確保が困難だったという話を聞き、産業用バッテリーの充電容量を監視する当社の技術を活用できないかと考えた」と説明。ダイワコーポレーションの曽根氏は「倉庫業界のネットワークを使い、東京都に近いエリアからスピード感を持って活動の範囲を広げていく」と全国展開の方針を示した。また、イーコースと連携し、デコ電池を含む電源ドナーの活動にいち早く賛同し、給電デモの実施などに取り組んできた協和運輸倉庫の髙橋氏は「2021年の3月から実証実験を行ってきた。今後は、展示会への参加や、講演等の開催を通じ、協力企業を増やしていく」と説明。三信倉庫の大竹氏は「災害時には社会的弱者の方にも目を向ける必要があり、普段使っているフォークリフト等でそうした人々に貢献できることは良いこと」と、活動の社会的意義を語った。
また、説明会には東京難病団体連絡協議会の原田久生理事長や日本ALS協会の愛知県支部、東京都支部の事務局長も参加し、民間企業主導の活動への期待感を示した。
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