カーゴニュース 2025年6月26日 第5350号
「XROP」による共同化で顧客利便性を向上
――昨年5月からuprとの間でレンタルパレットの共通サービス基盤である「X-Rentalオープンプラットフォーム(XROP)」が本格稼働しました。
二村 「X-Web」と呼ばれる共通IT基盤により、パレットの受け払いや貸出・返却のオーダーに使用するインターフェースを2社で共通化したほか、サポートセンターの機能も一体化しました。とくに両社のレンタルパレットを利用しているお客様にとっては、共通の仕組みで運用できることで利便性を感じていただいていると思います。
また、「X-Logi」という名称でパレットの合同回収を一部ルートで実施しています。まだまだボリューム的には少ないものの、実施したルートでは回収効率が向上しています。お客様から見ても、これまで2社が回収に来るたびに個別に対応しなければなりませんでしたが、一度の対応で済むことから、業務負担の軽減につながっています。
今後はこうした取り組みを面的に広げていくとともに、オープンプラットフォームへの参加企業を増やしていくことに注力していきます。他のパレットレンタル会社など多くの企業や業界にも参加いただきたいと考えています。
共同回収拠点を増やし安全・安心なパレット輸送を
――デポの生産性向上や高機能化に注力しています。
二村 パレット供給枚数が年々増えており、デポの高機能化による処理能力の拡大は不可欠です。ただ、デポの数を増やすのではなくデポネットワーク全体で需要に応える体制を目指しており、新設や更新にあたって機械化・自動化を通じた高機能化を計画的に進めていきます。今期については東条デポ(兵庫県加東市)の拡充を予定しており、洗浄機能の強化やAGV(無人搬送車)などによる自動化、太陽光発電による使用電力の再エネ化を推進していきます。
他方、パレットの運用枚数が増えていく中で、これまでと違ったパレットの循環方法についても考えていく必要があります。当社のレンタルパレットはすべてデポに回収し、そこで洗浄や検品を経て再出荷されるのが基本ですが、一部の顧客向けでは必ずしも洗浄の必要がないケースもあります。そこで、お客様の了解が前提となりますが、デポを経由しない形でパレットを直接供給するといった運用方法にも取り組んでいきます。
――パレットによる荷役作業や待機の縮減と同様に、トラック台数を極力減らしていく取り組みも重要です。
二村 トラック輸送を可能な限り減らしていくことは、CO2排出削減のためにも重要です。その意味で、当社がパレットの回収に訪問する共同回収拠点を増やしていくことは、個々の企業がパレットを持ち帰るために行う積載効率の低い輸送を減らすことに直結するとともに、お客様に安全・安心にパレット輸送を行っていただくことにもつながります。共同回収拠点の登録数は昨年度に3000ヵ所を超え、1年間で約200ヵ所増加しました。共同回収拠点は加工食品や日用品の卸や小売の物流センターが中心であり、当社の顧客層が広がることで拠点数が増加します。今後も年間200ヵ所のペースで増やし、2030年までに4100ヵ所を超えることを目指します。
レンタル×リースによるシナジー創出を
――芙蓉総合リースがJPRの株式を追加取得、持分法適用関連会社にしました。
二村 当社は非上場企業ですが、事業の持続的成長を支える安定株主との連携を強化していきたいという思いを持っています。その中で、芙蓉総合リースは以前から当社の筆頭株主でしたが、同社は物流関連事業を強化する方針を掲げています。芙蓉総合リースとの連携強化により、お客様のビジネスを加速する原動力となり、当社の持続的な成長に大きく寄与すると判断したため、今回、株式を追加取得していただきました。当社のレンタルの仕組みにリース機能を組み合わせることで、顕著な事業シナジーを発揮できます。例えば、お客様が新たにパレット輸送を開始する場合、様々な設備への高額な投資が必要となり、それが導入の障壁になることが少なくありません。そこに芙蓉総合リースのリース機能という提案を組み合わせることで、お客様の導入障壁を低くするソリューション提案が可能になります。今後、両社が連携することで、パレット輸送をさらに拡大するための仕組みを実現させていきたいと考えています。
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