カーゴニュース 2025年8月5日 第5361号

国交省/経産省/農水省
次期「物流大綱」へ事業者の提案続々

特車通行許可などの緩和要望も

2025/08/04 16:00
全文公開記事 トラック輸送 貨物鉄道・通運 倉庫・物流施設 トラック車両・関連機器

倉庫に〝トラック並み〟の支援を求める声

 

 太成倉庫社長の鈴木又右衛門氏は物流の結節点として倉庫業が果たしている役割の重要性を説明した後、トラックの荷待ち・荷役時間を短縮するなど物流改善の取り組みを実効性のあるものとするには荷主の理解と協力が不可欠だと強調。次期「物流大綱」が示す倉庫関連の提言を通じ、荷主が取り組む物流改善を〝新たな商慣習〟として定着させることが重要だと訴えた。加えて「トラック運送業をみると標準的運賃制度があり、トラック適正化二法により『適正原価』という考え方が示された。また、トラック・物流Gメンなどが荷主対策を実施し、価格転嫁の促進を図っている。倉庫業についても、トラック運送業に手当された制度と同様の効果を持つ措置の検討をお願いする」と訴えた。

 

 栗林商船社長の栗林宏吉氏は海運モーダルシフト拡大に向けたフェリー・RORO船の利用拡大策を提案。陸上輸送会社と協業することで、ドライバーは乗船せずにシャーシの無人航走を行うことが有効だと指摘し「特殊車両通行許可制度の簡素化・迅速化とシャーシ・トラクタヘッドの規格化、車両・輸送業務の情報共有とDX推進を図ることで内航と陸送の連携を緊密にする。併せて、陸送会社もRORO船での集配業務に参入しやすい環境を構築する」と述べ、海陸連携により「輸送量・輸送分担率を倍増させる高い目標を目指していく」と表明した。

 

 日本航空執行役員貨物郵便本部長の木藤祐一郎氏は国内航空での貨物輸送の現状について「国内定期便の貨物スペースの利用率は3割程度であり、10tトラックに換算すると1日約450台分の輸送余力がある」と説明。国際空港である成田・羽田の一体運用や周辺物流施設を再編することで効率化を図り、両空港を航空貨物ネットワークのグローバルハブとすることが貨物取扱量の拡大につながるとした。

 

 労働組合の立場からは全日本交通運輸産業労働組合協議会(交運労協)事務局長の慶島譲治氏はトラック、港湾、貨物鉄道それぞれの担い手不足を解消するため、処遇改善が喫緊の課題だと強調。さらに、27年3月末にJR貨物とJR旅客会社の協定の更新期を迎えるが、これを機に現状に即した持続可能なルールを構築することが重要だと述べ「貨物鉄道の線路使用料の算出基礎となるアボイダブルコスト(回避可能経費)ルールの見直しに対して国の支援が必要だ」と強調。加えて、JR貨物・荷主・利用運送事業者・消費者の合意形成を図ったうえで、貨物鉄道を維持する安定的な財源を創出することが物流ネットワークの維持につながると指摘した。

 

経済安保の観点から「国際物流」強化を

 

 日本物流団体連合会(物流連)理事長の河田守弘氏は次期「物流大綱」では輸送力不足への対応策として、担い手の処遇改善をはじめ、自動運転トラック・自動配送ロボットなどの活用、モーダルシフトや他モードを組み合わせたモーダルコンビネーションの推進、外国人材の活用、荷主・消費者の物流効率化に向けた行動変容の後押しなどを提案した。また、経済安全保障やグローバルサプライチェーンの安定的維持の観点から、現行の「物流大綱」では強調されていない国際物流分野の施策を次期「大綱」に盛り込むべきだとし、外航海運と国際航空輸送の競争力強化策を具体的に説明した。

 

 次回の検討会は8月下旬に開催し、荷主の構成員から提案や要望を聞く。そのうえで9月に第6回検討会を開き、論点整理と次期「物流大綱」に盛り込む事項を検討する。続いて10月に素案の検討を行い、11月をメドに「大綱」案を取りまとめる。

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