カーゴニュース 2025年8月5日 第5361号
デロイト トーマツ グループ(本社・東京都千代田区、木村研一グループCEO)は7月29日、企業の税関申告におけるリスクの分析を、AIを活用して支援するサービスの提供を開始すると発表した。同サービスの利用により、輸入申告を行った企業は、税関申告時に誤りがないかリスクの分析を効率的に行うことができ、税関による追徴課税のリスクを低減し、コンプライアンス強化も実現する。
同サービスは、企業が税関申告した情報をAIが複合的に解析して、誤りの可能性を効率的・効果的に抽出し、税関による事後調査を受けて追徴課税を課される前に修正申告し、コンプライアンス違反のリスクを軽減する。
具体的には、企業が保有する税関への申告データ、関税関係書類、海外送金や経理関係書類のデータを異常検知システムに取り込み、申告誤りが想定される取引を、項目別に抽出・スコアリングし、一覧化。その際、関税関係法令・税関事後調査に関する専門家の知見をベースにした「ルールベースのアプローチ」や過去の申告誤りの事例やパターンを学習し、大量のデータを複合的に解析する「AI活用のアプローチ」を用いて、効率的・効果的な抽出を行う。
同システムでは、複数のリスクシナリオに対応する複数のリスクスコアを統合する独自のアルゴリズムを活用。企業は、このリスク分析の結果を基に追徴リスクを定期的に確認し、リスクのある取引内容を精査することで、自主的な修正申告の検討・実施をすることが可能となる。
今回のサービスは、デロイト トーマツGTA&テクノロジーズ(DTGTAT)の関税・税関に関する専門家が培ってきた税関対応ノウハウに、デロイト トーマツ リスクアドバイザリーが持つ、AIを活用した異常値検知技術を組み合わせた。さらに、DTGTATでは修正申告の検討から実施まで、一貫したサポートを提供する。
なお、税関事後調査の件数については、2020年度は715者であったのに対し、23年度には3576者に増加し、コロナ禍以前の水準に戻った。その後も税関の事後調査は年間で約4000者を対象に実施されている。そのうち約7割の企業が輸入貨物に関する関税やその他の申告漏れを指摘され、追徴課税を受けている。
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