カーゴニュース 2025年8月7日 第5362号
日本郵便(本社・東京都千代田区、小池信也社長)は7月31日、点呼業務不備事案に関して、国土交通省と総務省に対し、再発防止策とユニバーサルサービスの提供状況をまとめた報告書を提出した。再発防止策では、9月にも本社に安全を統括する責任部署を新設するほか、軽車両の安全管理に担う「貨物軽自動車安全管理者」を年度内に約5万人選任し、全国の集配郵便局に配置する。郵便などユニバーサルサービスの提供状況については、一般貨物自動車運送事業の事業許可を取り消された6月26日以降、「現在のところ、大きなトラブルは発生していない」とした。
同社は、全国の集配郵便局で点呼業務の不備事案が発覚し、国交省から6月25日付で一般貨物自動車運送事業の許可取り消し処分と貨物軽自動車運送事業に対する輸送安全確保命令を受けた。また、総務省からは「日本郵便法に基づく監督上の命令」を受け、郵便のユニバーサルサービスの確保を命じられ、それぞれ再発防止策の定期報告を求められている。
再発防止策は、①研修等による意識改革②職場マネジメント意識の向上や環境整備③ガバナンス体制の強化――の3点から取り組みを推進。意識改革では、集配関係社員12万人に対し動画視聴、理解度テスト、スモールミーティングで構成される研修を実施し、研修受講率100%を目指す。飲酒運転防止では「飲酒運転防止のガイドライン」を9月末までに作成する。
職場マネジメントでは、点呼執行業務に携わる社員を対象に、貨物軽自動車安全管理者講習の受講を通じて年度内に5万人を「貨物軽自動車安全管理者」に選任し、全国3000以上の集配郵便局に配置。点呼のデジタル化も推進し、11月末までに全集配郵便局で運用を開始する。
ガバナンス体制の強化では、9月に安全を統括する責任部署を新たに設置。また、各種再発防止策を本社で進捗管理するほか、日本郵政と日本郵便の経営層をメンバーとする「点呼業務不備事案にかかる対策などに関するPDCA会合」を毎月開催し、進捗状況を確認していく。
ユニバーサルサービスの提供状況では、自社トラックによる月間11万8200便のうち、42%を自社の軽四輪車、34%をグループ外の運送会社、24%を日本郵便輸送に委託して対応。行政処分により自社の1t以上の車両を使用できなくなった6月26日以降、郵便局における大きなトラブルは発生していないとした。郵便の送達日数についても、新体制に移行後も以前と同様のサービス提供水準を確保できているという。
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