カーゴニュース 2025年8月12日 第5363号
新規事業開発コンサルやフルフィルメントサービスも
――WMS以外の事業にも注力しています。
方志 売上の半分以上はWMSですが、もう半分はDX化を支援するシステムの開発です。当社が得意とする画像処理の領域では、送り状をデジタル化するツールを開発しました。納品代行業などは、様々なレイアウトの送り状を処理する必要がありますが、OCR技術を用いて送り状をスキャンし、住所などの情報がどこに記載されているかをカメラで認識してデジタル化し、業務の効率化に寄与しています。
IT関連の新規事業開発コンサルティング業務にも力を入れています。物流およびIT・IoTに関わるPoC(Proof of Concept)の試作・検証から、サービス企画・開発・運用までをトータルでコンサルティングします。その実績のひとつが、コンビニエンスストアの配送戻り便を活用し、レンタル商品やEC商品の返却・返品を受け付けるサービス「Smari(スマリ)」です。大手商社と協力しながら、当社が企画から設計・開発までを行いました。既にコンビニ店頭に3000台を設置し、運用を開始しています。
――関連子会社では、3PLフルフィルメントサービスを手掛けています。システム会社やコンサル企業が物流業務のノウハウを獲得するために「実業」を持つケースは多いですが、御社の狙いは。
方志 関連子会社のYellow Tailでは、倉庫業、物流・ECコンサルティング、物流システム導入支援を手掛けています。先ほどお話したように、企業のシステム部門は人材が不足している傾向にあります。Yellow Tailは、主にEC企業を対象に、システムも含めたフルフィルメントサービスとして物流を請け負うことができ、システム部のアウトソースニーズにも対応できます。
一方では、企業のシステム部門への支援として、現場の負担をできるだけ軽減するために、システム間の接続を簡単な設定だけで行えるようにするツールも開発しています。自社で設定が難しければ、当社でシステム接続を行うことももちろん可能です。ビジネスの形が変化する中で、システムが柔軟に変化へ付いていけるようなサポートを行っていきたいと考えています。
――今後はどのようなサービスを開発していく予定でしょうか。
方志 現在提供しているサービスは、WMSをはじめサプライチェーンにおける「実行」の領域を支援するものが中心です。今後は、AIを取り入れながら「計画」や「管理」の領域にも拡大していく方針です。当社はYellowTailにおいて物流の現場を持っていますので、「計画」「管理」領域での知見を蓄えるとともに、テストベッドセンターとして活用することもできます。なお、倉庫の利益率はセンター長の能力で大きく変わります。将来的には、資材消費量の予測や物流の波動対応などにAIを活用し、センター長の業務を支援、さらには代行する「AIセンター長」のようなサービスが提供できないか構想しています。
さらに、波動が大きい物流業界のリソースを有効活用するため、資材や機器の調達プラットフォームの構築や各種物流リソースのマッチング、案件の相互紹介などのサービスも検討していきます。
方志 嘉孝(ほうし・よしたか) 1981年2月1日生まれ、広島県出身。2005年早稲田大学大学院生命理工学専攻卒業、同年IBMビジネスコンサルティングサービス入社、08年日本IBM入社、12年レゾナンス創業、13年ダイアログ創業
購読残数: / 本
恐れ入りますが、ログインをした後に再度印刷をしてください。