カーゴニュース 2025年11月11日 第5386号
自由民主党のトラック輸送振興議員連盟(会長=加藤勝信衆議院議員)は6日、参議院会館で総会を開催し、トラック業界からの要望を聴取した。業界からは、全日本トラック協会(寺岡洋一会長)をはじめ都道府県トラック協会から多数の幹部が出席し、軽油引取税の暫定税率廃止の早期実現、運輸事業振興助成交付金制度の維持、高速道路料金の大口・多頻度割引の拡充措置の継続など重要課題への対応を要望した。議連はこれを受け、要望実現を図ることを全体で決議した。
軽油の暫定税率は4月1日に廃止へ
開会冒頭、挨拶に立った加藤会長は暫定税率廃止に向けた動きについて「自民党、立憲民主党、日本維新の会、公明党、国民民主党、共産党の6党が合意し、ガソリン税の暫定税率を12月31日に廃止する方向が定まった。一方で軽油の暫定税率についても廃止で合意した。1ℓ当たり17・1円の暫定税率分から補助金10円分を引いた7・1円の補助金を2回に分けて引き上げ、暫定税率分と同水準まで価格を引き下げた後、来年4月1日に廃止する」と説明。また、運輸事業振興助成交付金について「当面、交付金をしっかりと確保していく方針だ。本年6月に成立したトラック適正化二法に基づく新たな制度が創設されることになったが、少なくとも運送業界のドライバーの適切な賃金の確保や運送業界の質の向上などを実現するまでの期間、交付金制度をしっかりと維持していく必要がある」と語った。
「交付金継続は必要不可欠」と坂本最高顧問
続いて全ト協の坂本克己最高顧問が「軽油引取税の暫定税率廃止は業界にとって大変ありがたいことだ。是非とも確実に実施していただきたい」と述べた後、運輸事業振興助成交付金について「この交付金は、営業用トラックの公共性に配慮し、輸送力の確保や輸送コストの抑制を図るための施策を講ずることを目的に創設された。運送業界は、災害時の緊急輸送対策、安全対策、適正化事業対策、環境対策、輸送効率化対策などに交付金を活用し、経済の血液である物流を担い、国民生活の向上や経済発展に貢献してきた」と強調。「今後もこうした対策を実施し、トラック運送が公共輸送機関としての役割を果たすとともに、労働環境を適正に整備してドライバーの処遇改善を行うためには、交付金の継続が必要不可欠だ」と訴えた。加えて、ETC2・0を利用するトラック運送業者の高速道路料金の大口・多頻度割引の最大割引率を40%から50%に拡充する措置が来年3月末を期限としていることを指摘し「4月以降も割引の拡充措置を継続していただきたい」と要望した。
業界からの要望を踏まえ、国土交通省が対応する施策について説明した。石原大物流・自動車局長が「トラック業界の要望と行政の方向性は一致しており、財務当局に対し来年度予算と税制改正を要求している。業界の要望を受け止め、実現を図る」と表明。岡野まさ子総括審議官兼物流統括調整官が国交省の施策を具体的に説明したうえで「交付金制度の維持にしっかり取り組む」と述べた。続いて沓掛敏夫道路局長が道路関連の施策を説明し「高速道路の大口・多頻度割引制度の継続に向けて注力する」と意欲を語った。
その後、出席する衆参両院議員が意見表明を行い、業界の要望実現に向け一丸となって取り組むことを決議した。これを受け、片山さつき財務大臣は「私はトラック議連に加盟して20年目になり、現在は副会長を務めている。総会の決議内容を副会長として重く受け止め、皆さんとともに実現に向けて力を尽くす」と語った。
締めくくりに全ト協の寺岡会長が挨拶に立ち「議連の皆さまの総意により、業界の要望を実現するとの決議をしていただいた。大変心強く感じている」と謝意を述べた。
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