新幹線で迅速な輸送を実現

カーゴニュース 2025年12月23日 第5398号

FOCUS
JR東日本グループ
列車荷物輸送「はこビュン」事業拡大を加速

速達性など強みにグループ全体で収益100億円規模へ

2025/12/22 16:00
全文公開記事 FOCUS 貨物鉄道・通運 経営計画・戦略 2024年問題

 JR東日本グループは列車荷物輸送サービス「はこビュン」「はこビュンQuick」の事業拡大を加速する。新幹線輸送ならではの速達性や定時性、環境性などを強みに、地産品PRによる地方創生に加え、「2024年問題」に伴うモーダルシフト需要を取り込むことで社会課題の解決に貢献し、今後は同サービスを活用したグループ収益で100億円規模への成長を目指す。来年3月には日本初となる「荷物専用新幹線」を運行するなど、サービス拡充と集荷拡大に向けた戦略を強化していく。

 

地産品PRをきっかけに2種類の輸送サービスを開始

 

  JR東日本グループでは地産品のPRによる地方創生に向けて、2017年に地方の新鮮な野菜や果物を東京駅まで新幹線で輸送し、同駅で販売する「朝採れ新幹線マルシェ」を実施。以降、商材・集荷先の拡大などの取り組みを進めてきた。その後、新幹線による荷物輸送の本格的なサービス化に乗り出し、21年10月、「はこビュン」「はこビュンQuick」の提供を開始した。

 

 このうち、「はこビュン」は法人のみを対象としており、事前契約が必要な予約制。荷主のもとで集荷され、出発駅へ陸送(ファーストワンマイル)された荷物を列車内に積載し、新幹線などで到着駅まで輸送する。東日本旅客鉄道(JR東日本)が運行する新幹線・在来線特急の車両スペースを活用し、輸送契約や列車への積載などをジェイアール東日本物流が担当している。出発駅までのファーストワンマイルや配送先までのラストワンマイルの陸送は基本的に荷主側の手配が必要だが、オプションとしてジェイアール東日本物流に依頼することもできる。

 

 一方、「はこビュンQuick」は法人だけでなく個人も対象としたサービスで、それぞれ専用カウンターを設けた東京駅および各駅間で、緊急輸送が必要な荷物などを事前予約不要で輸送できる。受付は先着順で、対象となる列車の出発30分前までに出発駅の専用カウンターへ荷物を預けて輸送を依頼(一部カウンターでは60分前までの受付が必要)。運ばれた荷物は到着駅の専用カウンターで受け取る。

 

 荷物のサイズ制限は縦・横・高さの3辺合計が120㎝以内で、重量制限は1箱につき20㎏。一度の輸送で40箱まで依頼可能で、輸送可能な荷物は農産物や水産物、食料品、医療関係品、機械類、電子部品など。動物類や不衛生なもの、臭気を発するもの、危険品には対応していない。輸送環境は常温となり、冷蔵品を取り扱いたい場合は、荷主側で保冷対応を施すことをお願いしている。荷主の要望があれば、列車内の荷室を1室貸し切ることができる。4月からは最大200箱程度を対象に大口定期輸送サービスも開始している。

 

 現在、「はこビュン」の対象となっている路線は北海道・東北新幹線が新函館北斗駅・新青森駅・盛岡駅・仙台駅・郡山駅~東京駅間、上越新幹線が新潟駅~東京駅間、北陸新幹線が敦賀駅・長野駅~東京駅間、山形新幹線が新庄駅・山形駅~東京駅間、秋田新幹線が秋田駅~東京駅間。「はこビュンQuick」は、東京駅を起点に、新函館北斗、新青森、盛岡、仙台、新潟、金沢、長野の各駅間を輸送し、8駅で10ヵ所に専用カウンターを設置している。

「はこビュンQuick」の専用カウンター

モーダルシフト需要の取り込みで取扱量は年々増加

 

 両サービスの強みについてジェイアール東日本物流営業本部営業ユニットマネージャーの安助里栄氏は「運行本数の多さに加えて、新幹線ならではの速達性と定時性が特長。今後の労働人口減少によりドライバー確保が難しくなる中、安定した輸送力を提供する」と強調。また、振動による荷物への影響が少ないことで、品質の高い輸送を提供できる。

 

 現在の利用動向について安助氏は「開始当初は料金面でトラック輸送と比較され、『高い』と言われることもあった。しかし、現在では『2024年問題』に伴うモーダルシフト需要の高まりを受けて、積極的に利用を検討する企業が増加しており、とくにフォワーダーからの引き合いが非常に多くなっている」と説明。また、CO2排出量削減などの環境対応に加え、天候に左右されにくく事故率が低いなどBCP面に強い輸送モードとして選ばれることも追い風となり、サービス開始以降、取扱荷物量は増加傾向にある。

 

 荷物の割合で最も多くを占めるのは食料品であり、鮮魚など生鮮品に次いで多いのが「駅弁」だ。各地域の事業者から集荷した駅弁は新幹線で都内へ輸送後、共配センターを経由し、翌朝の開店前納品により、朝には都内の駅や百貨店などで新鮮なうちに購入できる。新幹線で運ばれた駅弁には外装に『はこビュン』のシールが貼り付けられているものもあり、「サービスのPRはもとより、新幹線での迅速な配送による鮮度のアピールにもつながり、駅弁の売上増加にも寄与している」(安助氏)。欠品が出た際の補充も迅速に行えるため、販売機会の逸失防止にもつながっている。

 

 地方の生鮮品・食料品は、品目によって旬やその年の収穫量などの違いはあっても、年間を通して常に安定した荷量を確保できている。まだ実績を集めている段階ではあるが、物量波動による影響は今のところ少ないという。医療品関連における検体輸送についても、年間契約を取り付けているなど取り扱いは堅調だ。

 

 さらに、地方紙などの新聞の輸送についても底堅いニーズがあり、発行部数が減少する中で従来のトラック輸送ではコストメリットを見出しづらくなっていることも、輸送需要を下支えしている。加えて、引越家財を輸送した実績もあり、サービス開始当初には想定されていなかったニーズだという。このほか、今年は備蓄米の輸送に協力するなど社会貢献にも尽力した。

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