カーゴニュース 2025年12月4日 第5393号
SGホールディングスグループで百貨店・大規模小売店向けに納品代行業務などを展開するワールドサプライ(本社・東京都江東区、梅木淳社長)は11月27日、茨城県つくば市に開設した化粧品物流の中核拠点「谷田部センター」を報道陣に公開した。同一敷地内に一般倉庫と危険物倉庫が併設するメリットを最大限に活かし、化粧品の保管・流通加工や法定ラベル貼付、デリバリー業務をワンストップで提供する「コスメフルフィルメントサービス」を推進していく。
一般倉庫と危険物倉庫が敷地内に「同居」
11月1日から本格稼働を開始した新センターは、地上2階建ての一般倉庫7813㎡(賃借部分)と、延床面積997㎡の平屋建て危険物倉庫で構成。茨城県を中心に物流事業を展開する沼尻産業が所有する一般倉庫を賃借するとともに、敷地内の駐車場跡地を利用して危険物倉庫を新設した。立地は常磐自動車道「谷田部IC」から約2・2㎞と近く、郊外型物流センターでありながら、百貨店や大型店舗が集積する首都圏へのアクセスにも優れる。また、佐川急便のつくば営業所が至近にあり、グループの輸送リソースとの連携も容易だ。
新センターの最大の強みとなるのが、一般倉庫と危険物倉庫が同一敷地内に〝同居〟していること。化粧品には香水やマニキュア、ヘアスプレーなど危険物に分類される品目が多く、これらは危険物倉庫での保管が義務付けられる。ただ、一般倉庫と危険物倉庫がセットになっている拠点はほとんどなく、化粧品メーカーは横持ち輸送が必要になるなど非効率な物流を強いられていた。新センターはこうした課題を解消。一般倉庫と危険物倉庫がわずか20mしか離れていないため、横持ちによるコスト負担がなく、出荷リードタイムの短縮につながるメリットもある。
化粧品製造所では法定ラベル貼付も
一般倉庫は、空調を完備することで高い保管品質を実現。また、1・2階とも7mの天井高を確保することで保管効率を高めている。欧州系コスメブランドの取り扱いが多いため、欧州の標準パレットであるユーロパレット(1200×800㎜)に適用した自社製のパレットラックを設置するなどの工夫も凝らしている。セキュリティ面では入退館を1ヵ所に限定しているほか、各所に監視カメラを配備することで盗難などのリスクにも対応している。
また、一般倉庫棟には化粧品製造所も併設。薬機法(医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律)では、化粧品のビンなどに日本語による成分などを表示した法定ラベルの貼付が義務づけられているため、専門のトレーニングを受けた従業員が手作業でラベル貼付を行っている。
隣接する危険物倉庫は危険物第4類(引火性液体)に対応し、香水などコスメ製品にとどまらず、石油類などの幅広い危険物の保管が可能。定温機能により、25℃を基準とした温度管理を徹底しているほか、有事の際には、消火剤による保管製品へのダメージを最小限にとどめるため、二酸化炭素による消火設備を導入。荷役作業では防爆仕様のフォークリフト2台(カウンター式、リーチ式各1台)を配備した。
立ち上がり順調、スペース拡張も検討へ
稼働から1ヵ月弱が経過したが、すでに新センターではコスメブランド2社(海外系、国内系各1社)の業務を受託。年明け以降も新たなコスメブランドの取り扱いが始まり、来春までに数社の受託が決まっている。
同センターの立ち上げを担当したロジスティクス部営業1グループ課長の本村浩司氏は「倉庫運営、化粧品製造業、デリバリー、危険物倉庫、成分分析という化粧品の国内流通に求められる5つのサービスを一気通貫で提供できることが強み」と同拠点で展開する「コスメフルフィルメントサービス」のメリットを強調する。順調な引き合いにより、今後はスペースの狭あい化も見込まれることから、一般倉庫の賃借スペースを拡張することも検討しているという。
また、つくばエリアで最大級の危険物倉庫という特長を活かし、今後はコスメ製品以外の危険物保管ニーズへの対応も視野に入れる。「当面はコスメ関係に注力していくが、つくば市はスーパーシティ型国家戦略特区に指定されており、JAXAをはじめとする研究機関が多くある。原料系を含め危険物保管のニーズは一定程度ある」(同)としており、今後の事業展開も見据えている。
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