カーゴニュース 2025年12月16日 第5396号

インタビュー
国内モーダルシフトの受け皿としての機能を強化
日本内航コンテナ船協会 会長
井本隆之 氏

内航フィーダー網の拡充へ“協業”を推進

2025/12/15 16:00
全文公開記事 インタビュー 海運 環境・CSR

 ――「国内貨物を運ぶ」という視点で、内航コンテナ船という輸送モードの特色をあらためてご紹介いただけますか。

 

 井本 コンテナ輸送は、仕出し地から仕向け地までコンテナのままドア・ツー・ドアで運ぶことによって最大の効率を生みます。1960年代以降、世界の貿易はコンテナ輸送が主役となり、いまも拡大を続けています。これは、コンテナという輸送手段が最も効率的であると世界が認めている証ではないかと思います。国内貨物の海上輸送の手段であるフェリー、RORO船はいずれも大型化が進み、両端の港のターミナルに広大な駐車スペースが必要です。ハブ港でターミナルを拡張することは容易ではありません。一方、内航コンテナ船の輸送は「オフシャーシ」(シャーシやトラックごとではなく、コンテナのみを積載する)ですので、両端のターミナルで段積みでき、省スペースが可能です。

 

 内航コンテナ船は100TEU型~1000TEU型まで様々なサイズの船舶があり、港の物量に合ったサイズの船を寄港させることができます。荷主は「2024年問題」や環境問題への対応として、陸送距離を短くするため、自社の工場から最寄りの港を利用したいというニーズがあります。それなら、全国66港にすでに寄港している内航フィーダー輸送のネットワークを利用しない手はありません。

 

 内航コンテナ船は陸側にクレーンがあれば荷役が可能で、災害時の輸送モードとしても活躍し、緊急物資の輸送、迂回輸送、がれき輸送のいずれにも対応できます。また、コンテナのまま保管し、倉庫代わりにすることも可能です。

会員企業のコンテナ

荷主に国内貨物のモーダルシフトの提案を強化

 

 ――コンテナとトラックでは貨物の積み降ろしの方法が違うことから、従来、内航コンテナ船へのモーダルシフトのハードルになっていました。ただ、トラックでも「ドライバー荷役」を廃止する流れがあり、コンテナとトラック輸送の前提条件が近づきつつあるように感じます。

 

 井本 コンテナ輸送は基本、ドライバーは荷役を行いません。一方、日本のトラック輸送ではドライバーが積み込みを行う商習慣が長い間続いていました。たとえば、ある荷主は輸出貨物については高床式バースを備えた倉庫でコンテナにバンニングを行っている一方、国内向けの貨物は別の倉庫でドライバー自身が積み込みをしていました。昨今はドライバーの荷待ちや荷役時間の削減が求められるようになり、荷役に関して、輸出貨物と国内貨物の垣根はなくなりつつあります。そういう意味で、国内貨物をコンテナ化するハードルは低くなると考えられ、内航コンテナ船へのモーダルシフトを積極的に提案していきたいと思います。モーダルシフトはトラック事業者にとって必ずしもマイナスではありません。幹線部分は船に任せ、トラック事業者は工場~港間のショートドレージに専念することによって、輸送効率アップやドライバーの労働時間短縮につながった例もあります。

 

 ――コンテナは大型トラックよりもさらに大ロットとなりますが、荷量が少ない荷主は使えないのでしょうか。

 

 井本 たしかに、20‌ft、40‌ftのコンテナでは大きすぎるというお客様も多いのは事実です。「コンテナは大ロットの貨物しか運べない」というイメージを払拭するため、ひとつのコンテナに複数の荷主の貨物を混載するLCL(小口貨物)などのスキームを検討していく必要があります。当社は小口貨物の潜在需要を掘り起こすため、JRコンテナと同じ12‌ftサイズのコンテナ3基を40‌ftのフラットコンテナに積載する「12‌ft+40‌ftマルチコンテナ」を5基制作しました。JRコンテナをそのまま積載できないか実験も行う予定です。現状、12‌ft(5t)単位で出荷している荷主に対し、内航コンテナ船へのモーダルシフトという選択肢も提供できればと思います。

「12ft+40ftマルチコンテナ」
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