カーゴニュース 2025年12月23日 第5398号
「手ぶら旅」支援で個人利用を拡大へ
緊急輸送にニーズがある「はこビュンQuick」の場合、法人利用の事例では、物流事業者が緊急の荷物輸送に利用したり、医療品関連では患者の様態の状況によって緊急で必要になった薬を運んだりといったケースがある。また、新潟で豪雪が発生し道路交通網がまひした際には問い合わせが殺到。単発的に「はこビュンQuick」を利用していた事業者が、利便性を確認後に「はこビュン」への契約にシフトする流れも生まれている。
個人利用の場合は、忘れ物の輸送や急に必要になったものの輸送などにニーズが集中。アミューズメントパークのチケットを自宅に忘れた地方からの観光客が、地元の駅からチケットを送ってもらったというケースもある。
「はこビュンQuick」は「はこビュン」と異なり、個人でも気軽に利用しやすいことを利点としたサービスだが、現在は法人利用が多くを占めており、今後の事業拡大には個人利用への訴求が課題となる。安助氏は「PR動画を作成したり、専用カウンターの新設を加速したりと認知度向上やインフラ整備に努めているが、まだ周知が足りていないのが現状」と指摘する。
課題解消の一手として進めているのが、観光客への「手ぶら旅」支援だ。「はこビュンQuick」を提供するカウンターでは、地方のホテルでチェックアウト時に預けた荷物を東京駅で受け取れる「手荷物輸送サービス」や、専用カウンターで預けた荷物を観光地(現在は東京23区内および浦安市内と仙台駅周辺、秋保温泉エリア)のホテルに配送する「当日ホテル配送サービス」などを展開。10月には「駅レンタカー」と連携した手ぶらでのドライブ旅も提供しており、今後もサービス拡充を追求していく方針だ。
「はこビュン」ではさらなる利便性の向上にあたり、予約システムの開発も急ぐ。現在はメールや電話で行われている輸送枠の予約やセッティングの効率化を図るもので、今年度内の構築を目指す。
多様なニーズの対応へ「荷物専用新幹線」運行へ
JR東日本グループは26年3月期の経営戦略において、「はこビュン」の事業本格化によるグループ全体の収益を100億円規模とすることを掲げている。目標達成に向けて、グループで連携した事業拡大戦略を推進。すでに布石は打っており、今月には日本初となる「荷物専用新幹線」の運行を発表した。E3系新幹線の1編成7両を荷物専用車両として利用するもので、客室内の座席を全て取り外し、荷物搭載スペースに改造。最大17・4t(1000箱程度)の輸送を可能にした。平日の定期運行で、盛岡と東京の新幹線車両センター間を走行し、運行開始は来年3月を予定する。センター内の荷物搬送にAGV(無人搬送車)を導入するなど作業効率化も並行し、さらなる物流改善を進めていく。
他社とのサービス連携にも積極的だ。今年2月、日本通運が「はこビュン」「はこビュンQuick」を利用した即日配達サービス「NXスーパーエクスプレスカーゴ」を開始。さらに、来年1月からは日本航空(JAL)と共同で、列車輸送と航空貨物輸送を組み合わせた国際輸送サービス「JAL de はこビュン」の開始も予定する。陸送・列車・航空を組み合わせた輸送とともに通関手続きもワンストップで提供することで、地産品の海外輸出拡大に貢献する。
安助氏は「列車荷物輸送サービスは『社会的課題の解決』をテーマに据えており、地方創生や輸送力不足などの課題に対し、解消に向けた貢献を目指している。今後も新たなニーズの取り込みに向けて、当社の強みと他社の強みを組み合わせた事業連携を積極的に進めていく」と語る。
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