カーゴニュース 2026年1月13日 第5401号

貨眺富営313
「今年は『ソフト』の年に」
中田信哉
(神奈川大学名誉教授)

2026/01/13 06:00
全文公開記事 コラム・寄稿

豆腐得て田楽となすにためらふな  波郷

 

 僕は揚げ出し豆腐の方が好き。性懲りもなくまた新しい年が来てしまった。その後、すぐにあのくそ暑い日がやってくるかと思うと正月から憂鬱です。でも、冬は過ごしやすくなりました。かのヘブン先生は松江の冬の寒さに寝込んでしまった(松江生まれの僕は小泉八雲ではなく常にヘルン先生と言っていた)。松江も最近はそうでもない。現在の江戸ではなく武蔵の町田も30年前には年に数回雪かきをしていたが、今では雪かきなどまずしない。雪国はともかく冬はどうにかなる。江戸の町人の裏長屋では冬は褞袍と火鉢で我慢できるが夏の暑さは耐え難かったそうです。でも気を取り直して頑張ろう。

 

 昨年まで物流はハード(形あるもの)が中心。DXだのAIだのロボットだの次世代トラックだの絵に描けるものが花形でした。でも今年からはソフト(構造改変だの商慣習改善など)が大きく取り上げられなくては(問題だけは言われていたが)。特にトラック業界の構造問題です。複層だの重層だのと言われ、下請けだの孫請けだのが構造を複雑にし、問題を起こす、と言われるがそうだろうか。僕はトラックの構造を下請け問題とするのでなく「チャネル(流通経路)問題」と考えたい。チャネルとして考えれば、別の視点が生まれる。

 

 僕が流通研究の生活に入ったのは27歳の時です(僕の初めての著作は『日本の流通チャネル』日本工業新聞社)。実際の市場競争は商品開発とか広告などではなく、いかに強い流通チャネルを構築するかです。当時の松下電器(現・パナソニック)は新商品の発売は常に後出しじゃんけん(ソニーはモルモットと言われ、松下はマネシタデンキと言われていた。ついでに東芝はドウシタデンキ)なのに、いつもトップになる。それは松下の販売チャネルが優れていたからによる。トヨタと日産、コカ・コーラとペプシ・コーラの関係にも言える。つまり、早いうちに強い販売組織(チャネル)を作り上げたものが勝つということ。

 

 僕が前に勤めていた大手食品メーカーではメーカーから「大卸(一次問屋)~中卸(二次問屋)~小卸(三次問屋)~小売店」というチャネルを持っていた。時には孫問屋(4、5次以降)というもあった。大手小売業には大卸から、中くらいの小売店には仲卸から、零細小売店には小卸からと複雑な販売ルートがあった。これを巧みに管理するのが営業の重要な仕事でした。これがうまくいったメーカーは有利なシェアを確保できる。それは今でも同じ話です。

 

 トラック業界も重層構造なるものは輸送サービスを荷主に売るためのチャネルと考えられないだろうか。商品のチャネルとの違いは上から順に相手を「お客様」としていること。「協力会社」とか「下請け」、などとは言わない。同様なのはこのチャネルが全体での機能分担でできていることで、その構造は全体の最適効率とリスク分散となっているのです。「こういうのは短ければ短い方がよい」と言うのはいくら高学歴でも「サムエルソンのエコノミクス 」止まりの人です。僕も今年はトラック業界の構造をチャネル論で考えてみたい。

 

 ところで最近、住宅地の近辺で「買取屋」とか「何でも屋」など言った不用品高額買取の店ができてきたと思いませんか。あれは商売経路のフランチャイズ店で、不用品が早々あり続けるわけがない。で、大体1年で閉鎖。でも、フランチャイジーだから大本のフランチャイザーは痛くも痒くもない。次を探せばよいだけ。フランチャイジーは下請けなのだろうか。

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