カーゴニュース 2026年3月10日 第5417号
全国通運連盟(齋藤充会長)は4日、第19回「鉄道利用運送推進全国大会」を都内で開催し、会員である利用運送事業者を中心に鉄道貨物関係者が多数出席した。
大会冒頭で挨拶に立った齋藤会長は「昨年は改正物流法の施行やトラック適正化二法の成立など物流業界全体が従来の構造を見直す大きな転換期となった。また、次期総合物流施策大綱の策定が進んでおり、物流効率化やサプライチェーンの高度化・強じん化が主要なテーマとなっている。これらを実現するためには、鉄道貨物輸送の活用が不可欠であり、鉄道輸送の維持・発展に対する期待は一層高まっている」と強調したうえで、「これからも関係者との連携をさらに深めながら、通運業界に寄せられる期待と責務に応えていきたい」と述べた。続いて、国土交通省大臣官房総括審議官兼物流統括調整官の岡野まさ子氏とJR貨物の犬飼新社長が来賓を代表して挨拶した。
講演会ではまず、国交省物流・自動車局物流政策課の林田雄介課長補佐が「物流革新の実現に向けて」をテーマに、次期総合物流施策大綱に盛り込まれた方向性や具体的な施策について説明。続いてJR貨物の取締役兼常務執行役員鉄道ロジスティクス本部長の土井広治氏が、輸送量拡大、安定輸送、総合物流の3点から同社の取り組みについて紹介した。
日通と三菱倉庫がモーダルシフト事例発表
休憩をはさんだ後半では、日本通運と三菱倉庫の2社が鉄道モーダルシフトの取り組み事例を報告した。日本通運は通運部長の佐々木康氏が「青森県産リンゴのモーダルシフトの取り組み」をテーマにJAつがる弘前の事例を紹介。JAつがる弘前は「2024年問題」によるドライバー不足の顕在化に先手を打つ形で、2022年度から鉄道コンテナ輸送の拡大に着手。それ以前は年間180個(12ftコンテナ換算)だった発送実績を、24年度には1400個まで拡大し、25年度は2500個超を目指している。また、輸送中の品質劣化防止の取り組みや、内航船との連携によるSEA&RAIL輸送の拡大についても紹介。今後は出荷ピーク時に「リンゴ専用列車」の運転をJR貨物に求めていきたいとした。
三菱倉庫は「医療用医薬品モーダルシフトの取り組み」について、ロジスティクス営業部マネージャーの中田寛氏と同部ファーマ・ヘルスケアDCセールスチームの永石崇晃氏、グループで医薬品輸送を展開するDPネットワーク常務取締役の山本雅大氏が発表した。同社は23年11月から大手医薬品メーカーが出荷する医療用医薬品の鉄道コンテナ輸送を東北向けでスタート。昨年12月からは新たに31ft温度管理コンテナを使った輸送も開始するなど、利用区間を順調に拡大し、CO2排出量の削減にも効果をあげている。発表では、GDP(医薬品の適正流通基準)ガイドラインに適合したサービスを実現するため、輸送中のコンテナ内の温度管理に向け入念にテスト輸送を繰り返したことなどが紹介された。今後は、複数の医薬品メーカーによる共同配送に拡大していきたいとした。
このほか、日本パレットプール営業開発部次長の竹内康就氏が、鉄道コンテナ輸送で使用する養生資材のレンタル化に向けた実証実験の現状や今後の方針について説明した。
大会では最後に、全国通運連盟の大和隆人常任理事(合通ロジ)が「鉄道の強みを最大限発揮しつつ、輸送障害や荷物事故といった弱点の克服、輸送品質の向上に取り組み、鉄道貨物輸送の拡大を図っていく」旨の大会決議を読み上げ、全会一致で採択した。
大会終了後の交流会では、全国通運連盟の中郷昌男副会長(栃木県北通運)の挨拶に続き、国交省鉄道局の田島聖一官房審議官、JR貨物の真貝康一会長が祝辞を述べ、中山和郎副会長(中越通運)が乾杯の発声を行った。
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