カーゴニュース 2026年3月10日 第5417号

貨眺富営 315
「パレットは贅沢品なのか」
中田信哉
(神奈川大学名誉教授)

2026/03/09 16:00
全文公開記事 コラム・寄稿

 樹には樹の哀しみのありもがり笛 夕爾

 

 もがり笛(虎落笛)とは本来、竹の柵のことだが「冬の木枯らしで電線などがヒューと鳴る寂しい現象」です。

 

 カフェで話していた友人がこう言った。「10年後、日本はアメリカの50何番目の州となるか、朝貢国として中国の支配下に入るか、軍事大国になって完全独立をするかだ」。ただ、僕は中国やアメリカの地方を見て両国とも国内問題がこじれて、そうはならないと思う。中国の地方ではあれだけ高速道路、高速鉄道、高層ビルをつくればそのうち、そのメンテナンスでニッチもサッチも行かなくなるのではないか。アメリカもそうだがロシアは戦争をしていないとなり立たない国になってしまった。

 

 人類の余命はあと85秒だそうです。まあ、適当な話だが、多分、人(現生人類―ホモ・サピエンス)が誕生して約30万年、これを24時間と考えれば、核戦争や大気汚染のためにもうすぐ人の寿命は尽きるということなのか。生物の種にはライフサイクルというものがある。先輩の親戚であるネアンデルタール人は3、4万年前にいち早く絶滅した。人類が滅びるとしたらホモ・サピエンス全体の遺伝子の突然変異で生殖能力が失われることではないかと思っている。

 

 朝のワイドショーに玉川徹さんというコメンテーターがいる。人気がある。彼は「これからの日本の最大の問題は少子化によって人口が減ることだ」と主張する。しかし、玉川さんは東北の出身でなぜか京都大学に行き、東京のテレ朝に就職した。出世を望まず、記者だかディレクターでそのまま定年を迎え、今はタレントである。一回結婚したらしいがすぐに別れ、妻も子供もいない。都心の高級マンションに住み、スキーだ温泉だと優雅な生活を送っている。僕たちは彼を羨望の目で見る。しかし、一昔前なら「半端モノ」「半人前」「道楽者」「変人」と言われていただろう。今の価値観では立派な人生、理想的な生き方、うらやましい生活、だと評価される。そういう全体的価値観が少子化を招く。僕はもう「止めてやむものではなく、仕方のないことだ」と思っている。文明とはそういうモノであり、文明が文化を変えて行く。

 

 JPRがNPPを吸収してひとつになるそうだ。かつて、僕は流通システム化の初期にその行政の仕事を担当していた。通産省はパレット製造業側からNPPを作り、運輸省はパレット輸送側からJPRを作った。「標準パレットのレンタルならどうしてひとつの会社にできないのか。それがパレット・プールだろう」と僕たちは文句を言った。パレットのライフサイクルは短い。やがて、パレットなど使わない物流になる。パレット・プールの導入期は長すぎた。

 

 マーケティングで「贅沢品」ということを言う。贅沢品とは「アクアをレクサスに買い替える、これまでのテレビを4Kの大画面のものに買い替える、普通のマンションを売って高層マンションを買う」といったものでなく、「それまでの生活スタイルをがらりと変えるもの」を言う。盥(たらい)で洗濯していた主婦が電気洗濯機を買う、車のない家庭で軽自動車を買う。毎日、スーパーに買い物に行っていた人がでかい冷凍庫を買う。このような生活スタイルががらりと変わるようなものを贅沢品というのである。日産車に載っていた人がボルボに買い変えてもそれは贅沢品購入ではない。現在、贅沢品購入はほとんどなくなった(高級品購入である)。ライフサイクルの成熟期から衰退期である。これも文明の行き止まりであり、文化は変わり、消費は停滞する。信長流に言って「是非に及ばず」。物流においてパレットは贅沢品ではすでにない。初めてパレットを使用した時だけが贅沢品でした。

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