木曽岬で建設する危険物倉庫(完成イメージ)

カーゴニュース 2026年5月28日 第5438号

上野ロジケム
中部エリアに新たな危険物倉庫を建設

ワンストップサービス体制を強化

2026/05/28 06:00
全文公開記事 危険物・化学品 海運

 上野ロジケム(本社・横浜市中区、小松泰三代表取締役社長COO)は、上野グループのシナジーを最大限に発揮し、ケミカル物流のワンストップサービスを実現することで、2030年度に売上高150億円以上を目指している。5月に三重県桑名郡木曽岬町で危険物倉庫4棟と屋外蔵置場建設に着工し、中部エリアでの物流事業の基盤を強化。将来的には、関西エリアでの拠点の確保や、東名阪の3大都市圏をカバーする体制も視野に入れる。

 

マルチワークステーションで詰め替えにも対応

 

 上野グループは22~30年の中期経営計画で、30年に「ケミカル事業」を「石油事業」に匹敵する規模に成長させる目標を掲げる。その実現に向け、22年4月にグループのケミカル物流の各種機能(内航タンカー、陸上輸送、ISOタンクコンテナ輸送、危険物倉庫、タンクターミナル)を上野ロジケムに集約し、体制の強化を図った。

 

 同社が目指すのが、自社およびグループの機能を連携させたケミカル物流のワンストップサービスだ。得意とするタンカー、ローリーといった“バルク物流”のみならず、19年12月に横浜市鶴見区安善町に危険物倉庫(6棟計5872㎡)を開業以降、“個品物流”の強化やネットワークの拡充もテーマとなっていた。

 

 危険物倉庫事業の他所での展開の可能性を探るなかで、ターゲットしたのが中部エリアだ。名古屋港と四日市港の中間に位置する木曽岬新輪工業団地で約2万5000㎡の用地を24年度に確保。常温の危険物倉庫4棟(計4000㎡)、屋外蔵置場(約5000㎡)を今年5月に着工し、28年1月の開業を目指す。

 

 現状、中部エリアではタンカーでの輸送のみワンストップサービスが可能だが、個品物流については外部倉庫を利用しており、グループに取り込めていない。上野ロジケムが自社で危険物倉庫を同エリアに構えることで、先行する京浜地区と同様のワンストップ物流が可能になり、グループのシナジー創出と売上拡大にもつなげる考えだ。

 

 新設する危険物倉庫は消防法第4類2・3・4石に対応し、一部を保税蔵置場化する計画。おもな貨物としては潤滑油などを想定している。敷地内にはマルチワークステーション(危険物一般取扱所)を設置し、ISOタンクコンテナからローリー、ドラムからローリーへの詰め替えサービスも提供する。

 

 なお、危険物倉庫の建設にあたり、経済産業省が実施する「中堅・中小企業の賃上げに向けた省力化等の大規模成長投資補助金」の採択を受けた。競争力のある立地での危険物倉庫の運営とワンストップサービスの強化を通じ、適正な利益体質を構築することで、従業員への還元を図る方針だ。

ワンストップサービスの体制

タンクコンテナ洗浄デポとの関係強化を模索

 

 ISOタンクコンテナの国際輸送も好調に推移している。上野ロジケムとスイスのBertschi Global AG社との合弁により「上野バーチ・ロジスティクス・ソリューションズ(UBLS)」を設立し、24年1月から営業を開始。これにあわせ上野ロジケムのBertschi Global AG社総代理店業務をUBLSに移管した。

 

 新体制のもと25年度の取扱量は前年を上回る見込みである。従来、メーカーを中心にアプローチしてきたが、商社との取引も増えてきている。現在、全国で10ヵ所のデポに洗浄・メンテナンスを委託しているが、ISOタンクコンテナ事業をさらに拡大するため、デポとの新たな契約形態も視野に洗浄能力の確保を模索している。

Bertschi Global AGのタンク

 運航船舶数が18隻と業界トップクラスを誇る内航ケミカルタンカー事業は、27年1月に代替船1隻を投入し、来年度も1隻を増やす計画。船員不足を解消するため、荷役状況音声ガイダンス装置やタンク洗浄水の海洋排水遠隔装置、船内設備点検項目を電子化した「点検簿アプリ」など、船員の負担を軽減するツールの導入も進めている。

運航船舶数が18隻と業界トップクラス

 陸上輸送では、ローリーを中心に約130台の車両体制を築いている。課題となっているのが、コンテナドレージだ。ドレージについては外注しているが、値上げにより輸送費が上昇し、車両の確保も難しくなっている。安定的に輸送力を確保するため、タイムチャーター契約も視野に入れた検討を進めていく。

約130台の車両体制
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