カーゴニュース 2026年5月28日 第5438号
築港(本社・神戸市中央区、瀬戸口仁三郎社長)は横浜市鶴見区大黒町で、危険物物流基盤を拡充する。「横浜化学品センター」で危険物自動立体倉庫が12月に竣工予定。同じ大黒町内で新たな事業用地を確保し、ISOタンクコンテナの総合物流拠点プロジェクトも始動した。第1弾として、ISOタンクコンテナ保管施設(危険物屋外貯蔵所)の運用を5月から開始し、来春には加温設備や「マルチワークステーション(MWS)」の整備も予定。二期工事では顧客のサプライチェーンに着目した新たな設備も構想している。
MWS活用した附帯作業が圧倒的差別化に
同社の全国の危険物倉庫はフル稼働しているものの、荷動きには低調さがみられる。国内化学メーカーはエチレンプラントの集約など生産を縮小し、海外調達への切り替えが進み、輸入品が増えている。中東情勢を受け、BCP対策として国内在庫を増やす動きも重なり、危険物倉庫がひっ迫する可能性もあるという。
主要港における港湾型危険物倉庫を運営する築港では従来、高回転の輸出貨物の取り扱いが主力だったが、近年は輸入品のウェートが高まっている。「危険物倉庫の保管だけで生きていける時代ではない」(瀬戸口社長)との考えから、ISOタンクコンテナの保管や加温、荷姿変更など附帯作業に対応できる危険物物流拠点の構築を進めてきた。
圧倒的な差別化となっているのが、「MWS」と呼ばれる一般取扱所を活用した附帯作業だ。ISOタンクコンテナからローリー、ドラムへの荷姿変更は危険度・難易度が高いが、昭和30年代に石油ドラム再生工場を運営し、合弁事業でタンクコンテナの洗浄を手がけている築港ならではの強みとなっている。
主要拠点でMWSの設備の充実を図っており、横浜地区では今年1月、「横浜化学品センター」に屋根と壁を備えた一般取扱所を新設。雨風の影響を受けにくい構造を採用したことで、天候に左右されず、安全かつ効率的に荷姿変更作業を行うことが可能となり、顧客への対応力も向上した。
和歌山で危険物倉庫、地場メーカーの需要取り込む
国内危険物倉庫の拡充では、21年10月に「名古屋化学品センター第2倉庫」(愛知県弥富市)を開業して以降、同所で増床を進め、24年12月までに定温庫やマイナス30℃の冷凍庫を含む7棟・7000㎡の危険物倉庫群を実現した。続いて、関西地区で今年3月2日に開業したのが、「和歌山営業所」(和歌山県和歌山市)だ。
危険物倉庫(約1000㎡)、普通品倉庫(約1330㎡)、屋外貯蔵所、屋根と壁を備えたMWS(一般取扱所)を配備。危険物倉庫には移動ラック(収容能力1980パレット)を設置した。普通品倉庫は掘り込み型のコンテナバースを採用。消防法危険物第4類に対応し、電池や地場の化学メーカーからの需要を取り込む。
需要が旺盛な横浜地区では、12月に「横浜化学品センター」で危険物自動立体倉庫の竣工を予定している。既存の倉庫の一部をスクラップ&ビルド(S&B)し、立体自動倉庫化することで保管能力はおよそ1万5500ドラムと大幅にアップ。消防法危険物第4類に該当する潤滑油などの取り扱いを想定している。
横浜地区では新たなISOタンクコンテナの総合物流拠点も整備する。5月に実入りタンク320基を保管できる危険物屋外貯蔵所の運用を開始。既存の施設と合わせて、同社の横浜地区におけるISOタンクコンテナの保管能力は600基体制となる。来年3月をメドに加温設備(36レーン)、MWSも新設する。
円安の影響やBCP対策の一環として、化学メーカーがパッケージ“製品”ではなく“原料”を輸入し、国内で生産する傾向が増えつつある。今後もISOタンクコンテナの流通量の増加が見込まれることから、保管能力を拡大し、取り扱いを強化する。二期工事では、顧客のサプライチェーンの最適化に貢献する新たな施設も構想している。
海外展開では、中国、ベトナム、米国に現地法人を有しており、このほど台湾でフォワーディング事業を展開する現地法人を立ち上げ、4月に現地で開所式を行った。台湾の大手半導体メーカーと取引関係のある現地の危険物物流会社への出資等により、台湾と米国事業とのシナジーも探る。
購読残数: / 本
恐れ入りますが、ログインをした後に再度印刷をしてください。