カーゴニュース 2026年6月16日 第5443号
物流戦略のキーマン “CLOに訊く”シリーズ
1948年の創業以来、菓子・アイスの製造販売を中心とした事業活動を展開するロッテ(本社・東京都新宿区、中島英樹社長)。「お口の恋人」というコーポレートメッセージには、「永遠に愛される存在になるために これから先も、『愛』を届ける」という強い思いが込められている。商品を届ける物流の社会課題解決に向け、平田広志取締役兼常務執行役員SCM本部長物流統括管理者(CLO)にロッテが目指すサプライチェーンのあり方、SCM本部が果たすべき役割について聞いた。 (インタビュアー/石井麻里)
課題意識を高く持ち、解決のスピード上げる
――お菓子とアイスの物流の特徴や特有の課題についてご紹介いただけますか。
平田 お菓子とアイスは季節波動が非常に大きい商品です。アイスは夏場が需要の最盛期で、お菓子は秋頃からチョコレートの販売が増えてきます。家庭で過ごす時間の長い年末年始、それからバレンタインも需要が伸びる時期です。需要の“山”に合わせて一定規模の倉庫スペースとトラック台数を確保しなければなりません。こうした波動対応が、お菓子、アイスの物流の難しさと言えます。
もうひとつは温度帯です。アイスは保管、輸送ともに冷凍温度帯での取り扱いが必須で、一方のお菓子も20℃前後の定温管理が求められます。昔は定温管理が必要な期間は5月から9月頃までだったのが、近年は気温の上昇により、その期間が長くなり、4月から10、11月頃までとなっています。さらに、これだけ猛暑が続くと、従来以上の温度管理に注意を払わなくてはならず、そのためのコストが上昇しています。
――物流の難易度がさらに上がった印象ですね。そうしたなかで、「2024年問題」をはじめ物流課題への対応が求められているわけですが、物流環境の変化をどのように受け止めていらっしゃいますか。
平田 物流に関しては、トラックドライバーの時間外労働規制が強化される「2024年問題」が始まる以前から、取り組みを進めてきましたが、対処すべき課題が年々増えているように感じています。
その背景のひとつが、改正物流法です。昨年4月から、「荷待ち時間の短縮」「荷役時間等の短縮」「積載効率の向上」の3つが努力義務となり、今年の4月からは、一定以上の貨物量を扱う「特定荷主」に対し、中長期計画の策定と物流統括管理者(CLO)の選任が義務化されました。従来以上に、物流に関する課題意識を高く持ち、解決のスピードを上げていく必要があると認識しています。
工場の荷待ち削減へトラック予約システム導入
――具体的にはどのようなことに取り組まれていますか。
平田 当社は全国に4ヵ所の工場がありますが、トラック予約システムを導入し、荷待ち時間の削減を図っています。また、バラ積み・バラ降ろしはドライバーの負荷が大きく、敬遠される傾向にありますので、荷役時間の短縮につながるパレット化の拡大に取り組んでいます。パレット化すると、その分、積載率が下がってしまうという課題がありますが、当社はお菓子の輸送で20年以上前からシートパレットを採用し、積載率をできるだけ落とさない方式でパレット化を実現しています。トラックの積載効率向上に向けた施策としては、SCM本部と生産本部、マーケティング本部、中央研究所が連携し、パレットに商品を効率的に積み付けられる製品サイズの研究などにも取り組んでいるところです。
――全国4工場体制ということですが、お菓子とアイスの工場はそれぞれ分かれているのでしょうか。
平田 国内4工場のうち、浦和工場(さいたま市南区)、滋賀工場(滋賀県近江八幡市)、九州工場(福岡県筑後市)の3工場は、お菓子とアイスの両方を生産しています。一方、狭山工場(埼玉県狭山市)はお菓子のみを生産しています。各工場はそれぞれ異なる商品を生産していますが、たとえばアイスでいうと、主力商品である「クーリッシュ」「爽」「雪見だいふく」は浦和工場、滋賀工場、九州工場すべてで生産しています。消費地までの輸送距離を短くし、輸送コストをできるだけ抑えるためです。
こうした生産体制がとられているのは、主に物流上の理由によるものですが、万が一関東で地震などの自然災害が起きた場合でも、滋賀や九州の工場から関東に供給できるなど、BCPの観点からも有効であると考えています。
――物流体制、拠点の配置はどうなっていますか。
平田 工場の敷地内に一時保管用の倉庫はありますが、それ以外の外部倉庫、輸送のすべてを全国のパートナー会社にすべてお願いしています。菓子で10ヵ所、アイスで10ヵ所の外部倉庫を利用しており、アイスについては夏季の最盛期に合わせてさらに数十ヵ所程度を確保しています。
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