カーゴニュース 2026年6月16日 第5443号
物流戦略のキーマン “CLOに訊く”シリーズ
欠品や廃棄ロス削減へ生産や営業部門と連携
――物流に関する組織体制についてお聞きします。SCM本部は調達と販売物流の両方を担っているのでしょうか。SCM本部が管轄している範囲をお聞かせください。
平田 調達については生産本部の資材部が担当しています。SCM本部には「需給部」があり、そこで需要予測を立て、生産本部に生産依頼を行います。工場は生産計画に基づき生産し、できあがった商品を工場から各地の倉庫に運ぶ「一次輸送」、卸店様などお客様から注文を受け、納品先に届ける「二次輸送」のところまでをSCM本部の「物流部」「受注管理部」が担当しています。
なお、「自分たちが担当するところだけやればいい」ということではありません。SCM本部が果たすべき最大の役割は、「サプライチェーン上の部門を横断し、全体最適を担うこと」です。社内の関係部門と調整し、生産や営業部門とも連携しながら欠品や廃棄ロスを減らす――。こうした取り組みをSCM本部が主導していきます。
――26年3月1日にCLOに就任されました。その役割についてどのようにとらえていますか。
平田 改正物流法では年間で9万t以上の荷物量を持つ荷主を「特定荷主」と指定し、物流統括管理者の選任や中長期計画の策定などの義務を課しています。当社は発着それぞれの荷物量が20~30万t程度になりますので、「特定荷主」に該当します。
CLOの役割については、社内、社外と2つの側面があると思います。まず、社内的には「サプライチェーン上の全体最適を実現する」こと。これはCLO一人で実現できるものでは決してなく、SCM本部全体で取り組まなければなりません。そうした方向付けをするのが、CLOだと思います。
一方、社外的には、パートナー会社との連携強化が重要です。当社は自社で倉庫やトラックを持たず、パートナー会社との連携なしに物流は成り立ちません。5月22日に「ロッテパートナーシップミーティング」を開催し、資材、設備、製造、物流それぞれのパートナー会社から約300人にご参加いただきました。こうした場で、日頃の感謝の気持ちをお伝えするとともに、課題を共有しながら、さらなる高みをともに目指していくことも、CLOに求められる役割です。
モーダルシフトやラウンドマッチング輸送を拡大
――近年、モーダルシフトや他企業との物流協業などに積極的に取り組まれています。各種表彰も受賞し、注目されています。
平田 直近では3月に、パートナー会社の曙運輸様とともに、国土交通省海事局による令和7年度「海運モーダルシフト大賞」を受賞しました。曙運輸様の協力を得て、福岡県向けの製品輸送についてトラック輸送からフェリー輸送に切り替え、CO2排出量を40%、トラックドライバーの労働時間を年間1万800時間削減した――という取り組みです。
当社は東京有明港~博多港間で「電源使用の無人トラック」を乗船させ、船内電源を活用してトラックの冷凍機を稼働させる――というスタイルを07年から確立しています。今回大賞に選ばれたのは、長年にわたる継続的な取り組みに加え、24年7月から大幅に増便したことが評価されたのではないかと思います。
他企業との物流協業では、23年にカバヤ食品様と31ftスーパーURコンテナを活用した鉄道によるラウンドマッチング輸送を開始しました。狭山工場から岡山県の倉庫まで当社の製品を輸送し、その復路でカバヤ食品様の製品を岡山工場から埼玉県の倉庫まで輸送するというものです。24年からは、ブルボン様ともラウンドマッチング輸送を始めています。ブルボン様の新潟の工場から福岡県内の物流センターへの納品後、同じ31ftスーパーURコンテナを当社の九州工場から大阪府内の倉庫向けの輸送に使っています。
26年1月からは、サッポログループ物流様と関東〜東北間でトラックのラウンドマッチング輸送を冬季限定で開始しました。往路は当社の狭山工場から宮城県の倉庫に、復路はサッポロビール様の仙台工場から千葉工場向けに、それぞれの商品を運びます。
サッポロビール様は常温のトラックを使用していますが、当社のお菓子は冬季には常温で輸送できますので、まず冬季限定でスタートしました。サッポログループ物流様が運用する冷蔵機能のあるトラックを使うことで、冬季だけでなく通年の取り組みに拡大することも検討しています。物流協業については、今後もいろいろな可能性が考えられると思います。
――物流課題の解決に向けて、様々な「商慣習の見直し」がテーマとなっています。御社での取り組みはいかがでしょうか。
平田 納品リードタイムの延長に取り組んでいます。従来、卸店様からのご注文は納品日の「前日」がほとんどでしたが、「前々日」への前倒しにご協力いただいています。リードタイムが1日延びることで、パートナー会社では余裕をもってトラックを手配できるようになり、また、従来は夜中に行っていた倉庫でのピッキングを昼間の時間帯にできるようになるなど、物流現場の負荷を下げられます。
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