カーゴニュース 2026年7月9日 第5450号
日本産業車両協会(産車協、間野裕一会長)は3日、7月第1週の「フォークリフト安全週間」にあわせ、フォークリフト作業の安全向上、事故防止対策の情報提供を行う講演イベント「フォークリフト安全の日」を開催した。冒頭、間野会長(ロジスネクスト)は、「わが国ではフォークリフトに関する安全法令や安全規格が定められており、世界に誇れる安全確保に関する環境が整備されているが、フォークリフトによる労働災害事故は毎年発生している。当協会ではフォークリフトによる死亡労働災害ゼロを目指しており、それを実現するため、より安全な製品を提供するだけでなく、適切な操作による安全作業や安全な現場環境づくりの参考にしていただける情報をしっかりお伝えしていく必要があると考えている。本日のプログラムから事故防止や安全の向上に役立つ情報を持ち帰っていただき、実際に取り組んでほしい」と挨拶した。続いて、来賓の厚生労働省労働基準局安全衛生部安全課の土井智史課長が挨拶した。
はじめに、産車協業務部の堀内智部長がフォークリフトに起因する労働災害の発生状況を報告した。2025年の死傷災害件数は1872件で、3年連続で前年を下回ったものの、死亡災害件数は前年より3件増加した。一方、5年平均でみると死亡災害件数は減少傾向にあり、21年~25年の平均値は06年~10年の平均値と比べ、製造業で4・8件、運輸交通業で2・4件、貨物取扱業で1・4件、それぞれ減少していることなどが示された。
続いて、陸上貨物運送事業労働災害防止協会技術管理部の早坂稔男主査が、近年のフォークリフトによる災害発生の特徴と問題点について解説した。25年に発生した死亡災害事例を「はさまれ・巻き込まれ」「激突され」「墜落・転落」など事故類型別に紹介し、それぞれの問題点を指摘。積荷の重心確認や安全確認などの不実施や不適切な使用、不注意などが重大事故につながると訴えた。
さらに、産車協フォークリフト技術委員会の安部暢泰委員(豊田自動織機)が、フォークリフトの安全技術の取り組みについて講演し、フォークリフトの車両特性を解説したほか、各フォークリフトメーカーが取り組んでいる事故防止・低減技術を紹介した。
プログラム後半には、AGCのAGC横浜テクニカルセンターガラス部型磨板課・木村晃平主任が、フォークリフトの安全な使用に関する取り組みについて講演した。フォークリフト作業によるヒヤリ・ハット事例が、型板ラインだけで5年間に7件発生したことを問題視し、重篤災害が発生する前に対策を講じたという同社。危険源がどこにあるのかを徹底的に洗い出し、フォークリフトと歩行者の動線を分離する「歩車分離」の完全実施に乗り出した。具体的には、自社製パーテーションで歩行者通路を確保するなどフォークリフトと歩行者の接触リスクを軽減することから開始し、監視カメラによる現場の可視化、さらには来客用の歩廊を設置など、段階を踏んで来客とフォークリフトの動線を完全分離し、20年以降はゼロ災害を継続しているという。
最後に、労働者健康安全機構労働安全衛生総合研究所リスク管理研究グループの大西明宏部長代理が、近年のフォークリフト使用時の労働災害の特徴について講演した。フォークリフト起因の労働災害について多角的に分析し、リフトマンの被災が全体の2割強であるのに対し第三者の被災が6割以上を占める、全体の約半数が走行時の災害で、車輪への接触が多い――などの分析結果を発表。そのうえで、教育や周知の徹底や歩者分離、周辺警告デバイスによる危険可否などの対策案を示した。
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