カーゴニュース 2026年7月14日 第5451号
物流戦略のキーマン “CLOに訊く”シリーズ
「CODE」では“力業”でなくデータに基づきマッチング
――花王と三菱食品の2社が幹事会社となって異業種荷主の共同配送コンソーシアム「CODE(Cargo Owners’ Data-driven Ecosystem)」を発足させました。中間流通大手の荷主主導で、難易度の高い支線配送の領域で共同配送にチャレンジする画期的な取り組みとして注目されています。発足の経緯をお聞かせください。
森 個社やひとつの業界だけで物流改革を進めることに限界を感じており、三菱食品でCLOを務める田村幸士取締役常務執行役員SCM統括と、「何か一緒にできることがあれば、ぜひやりたいね」とかねてより話していました。また、「自分の会社だけでなく、物流業界を何とかしたい」という共通の思いを持っていました。中間流通という業態は食品、日用品以外の業界にも存在し、納品先が共通していることも多いです。パイが大きければ大きいほど、トラックの融通や将来的にはトラックへの混載でもマッチングの可能性が高まると考えています。
共有するデータの中には、参加企業の拠点や納品先の位置も含まれますので、お互いの拠点を相互に融通・活用し、業界をまたいで同じ拠点を活用するといったことも将来的には考えられると思います。また、「CODE」の共同配送では、“力業”でなくデータに基づいたマッチングを導入します。これは未来のあるべき姿の第一歩となります。
――「Cargo Owners」というところに荷主主導でやっていく――という強い意思を感じます。コンソーシアムの参加企業はいずれも荷主企業となった理由をもう少しお聞きしたいのですが。
森 「CODE」の発足にあたって、3PL事業者や物流事業者の方からも(コンソーシアムへの参加)に関心があるとの声をいただきましたが、荷物を主体的に動かしているのは荷主ですので、まずは荷主だけで取り組み、成果を上げていこうとしています。物流会社は自社の荷物を動かしているわけではないので、「マッチング」の手法は物流会社が引いたネットワークに貨物を誘致することであり、共同配送の効果が限定的になっています。また、物流会社は「運ぶこと」が事業ですので、当然、「マッチング」による共同配送を行うには一定の費用が発生します。「CODE」では幹事会社がマッチングを行いますが、そこで収益を得ようという発想はありません。このため、荷主にとって「CODE」参画のハードルは低いと思っています。
物流の面白さは「取り組みの結果が見えること」
――物流の現場からキャリアをスタートし、荷主企業の物流のトップであるCLOに就任しました。現場、経営の2つの視点で長年物流に携わってこられた森様にとって、「物流の魅力」とは何でしょうか。
森 「改善」という言葉が適切かわかりませんが、物流は自分のアイデアひとつで、見える“景色”が変わります。何か仕組みを変えることによって、会社の数字(業績)はもちろん、働いている人たちの働き方、動き方が目に見えて変わってくる――。物流はそうした領域です。自分が考えて、取り組んだことの結果がしっかり見えるところに、物流の面白さがあります。また、「生産性が改善した」「作業が楽になった」など感謝されることも多く、そうしたことにモチベーションを感じられるのではないかと思います。
生活者の方々に安心・安定して製品をお届けすることが花王の使命であり、物流はサステナブルであることが求められます。そのために、行政には様々な商慣行やルールの変更、DX投資にかかわる支援を期待しています。また、花王にとって物流事業者の皆様は「パートナー」です。単なる荷主と委託先という関係性ではなく、パートナーとして花王に対して積極的に「気づき」や生産性改善のための提案をいただきたいと思います。物流事業者が対等な立場で意見を出していただけるように、双方向でのコミュニケーションの活性化を図っていきたいです。
もり・しんすけ 1988年立教大学社会学部卒。97年にヤマト運輸へSDとして入社。「羽田クロノゲート」など大規模物流拠点の構築と全国ネットワーク改革を主導。ヤマトロジスティクス取締役常務執行役員、ヤマト運輸執行役員を経て、2024年10月、花王執行役員ロジスティクス改革担当として着任。26年1月から執行役員ロジスティクス部門統括CLOに就任し現在に至る
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