カーゴニュース 2024年10月3日 第5280号
オンライン特別編集「10月8日」は通関業の日
大阪通関業会(米澤隆弘理事長)が行った会員アンケート調査で、約9割が関税・消費税の立替払いを行っており、うち約9割が負担を認識していることがわかった。約5割が「非常に負担が大きい」、約3割が業務に与える影響が「極めて大きい」と回答しており、立替払いが通関業者の事業運営に大きな負担・影響を及ぼしている実態があらためて浮き彫りになった。
業務の効率化の課題、IT化関連が73%
アンケートは2024年7月1~31日かけて全会員営業所(316)を対象に行い、回収率は57・9%だった。今回、4月からトラック運転手に時間外労働規制が適用された「2024年問題」についても設問項目に加えた。
「通関業務の効率化のために最も必要なもの」を尋ねたところ、「IT化推進のためのインフラ整備・シフト開発」(32%)、「IT化推進のための人材の確保・育成」(21%)、「IT化推進のための関税法、通関業法等の規制緩和」(12%)、「社会全体のIT化、テレワークの推進」(8%)などIT化推進を課題とするものが73%と大半だった。
17年10月から実施された申告官署の自由化について、営業区域制限撤廃後の重要な課題を聞くと、「税関間・官署間での解釈、指示の相違」が54%と半数を占め、4年連続1位の回答だった。「税関(税関間・官署間)の連携(検査貨物の指定遅れ等)」(16%)、「税関との連絡(複数官署との連絡・調整、許可通知の遅延)」(14%)が続く。
RCEP(地域的な包括的経済連携)の利用で申告に際し苦労することでは、「第三者証明書の不備」(30%)が3年連続1位の回答で、今後、原産地規則研修の充実を図る。以下、「原産地基準の解釈」(25%)、「荷主への説明」(22%)、「MSX(申告添付登録)業務の増加」(10%)が続く。
日本通関業連合会が推進するダイバーシティに関して、「ある程度重視している」は58%。ただ、具体的な取り組みを行っていない企業は72%を占めた。ダイバーシティの目標設定の有無を聞いたところ、「設定していない」は92%となり、「設定している」は昨年の7%から8%にわずかながら上昇した。
立替払い、「荷主からの要請」が6割
関税・消費税の立替払いを「行っている」は89%で昨年とほぼ同じ割合。立替金の未回収の有無では「未回収がない」が84%とほぼ回収はできていた。未回収の割合も10%未満が97%を占めている。立替払いを行う理由としては「荷主からの立替払いの要請があるため」(63%)がトップだった。
立替払いについて「非常に負担が大きい」(49%)、「やや負担がある」(42%)を合わせると昨年同様に9割以上が負担を感じている。立替払いの業務の影響は、「大きい」(34%)、「極めて大きい」(28%)が多い回答で、約6割に影響があり、何らかの影響がある割合は8割を超えた。
立替払いの負担軽減策では、「政府による法改正」(49%)、「荷主によるリアルタイム口座の積極的導入」(48%)がほぼ同率で、昨年に比べてリアルタイム口座導入の回答が伸びている。立替払いがなくなった場合、「好影響がある」(55%)、「極めて好影響がある」(24%)と回答し、立替払いの他の利用納税制度ではリアルタイム口座振替方式が5割を占めた。
今回、新たに「2024年問題」についても聞いた。運送業務を兼業している割合は54%で、通関貨物への影響について「ある」との回答が84%だった。影響の内容では「運送コストの増加」が79%、「貨物取扱いの効率低下」、「配送スケジュールの遅延」がそれぞれ10%だった。
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