カーゴニュース 2025年7月31日 第5360号
「トラック適正化二法」特集
事業許可更新制で悪質事業者の退場を促す
――6月4日に議員立法により、事業許可更新制などを盛り込んだ「貨物自動車運送事業法」の一部改正と、新法である「貨物自動車運送事業の適正化のための体制の整備等の推進に関する法律」という2つの法律(トラック事業適正化二法)が成立し、同月11日に公布されました。
三輪田 この度の事業法改正は、「許可の更新制の導入」「『適正原価』を継続して下回らないことを確保」「委託次数の制限」「違法な『白トラ』に係る荷主などの取り締まり」などが主な内容です。「更新制」の導入とは、トラック運送事業者が5年ごとに更新を受けずにその期間が過ぎると許可が失効するということです。これを担保する体制を整備するための法律が、新法であるトラック事業適正化推進法で、更新事務や事業適正化に関する支援などを独立行政法人が行うと定めています。議員立法である改正事業法と新法の趣旨を十分に踏まえ、施行までの間に政省令の整備など必要な準備を進めていきます。
――新制度がスタートするまでのスケジュールはどうなっていますか。
三輪田 「許可更新制」の導入と「適正原価」の遵守義務については3年以内に施行します。他方、トラック運送事業者および貨物利用運送事業者が運送を引き受ける場合、再委託の回数を2回以内に制限するよう努力義務を課す「委託次数の制限」と、許可や届出なしに有償で運送行為を行う「白トラの利用禁止」は1年以内に施行します。白トラを利用する荷主には是正指導が行われ、立件された場合には100万円以下の罰金を科すことも定められました。
――許可の更新事務や事業適正化支援を行う独立行政法人はどのような体制となりますか。
三輪田 今の時点では何も決まっておらず、政府において今後3年以内に必要な法制上の措置等を講じることとなります。効率的な審査やDXを進める観点から、オンライン方式で審査を行うことを基本に検討を進めていきます。
「適正原価」とは何か、どのように決めるのか
――「適正原価」のことが気になります。運輸審議会の審議を経て国土交通大臣が告示するとしていますが、そもそも「適正原価」とは何でしょうか。これを3年以内に施行するとしているのはなぜでしょうか。
三輪田 「適正原価」については改正事業法第9条の2第1項で「貨物自動車運送事業の適正な運営を図るための原価」と規定しています。その内容は「燃料費、全産業の労働者1人当たりの賃金の額の平均額を踏まえた人件費、減価償却費、輸送の安全確保のために必要な経費、委託手数料、事業を継続して遂行するために必要不可欠な投資の原資、公租公課その他の事業の適正な運営の確保のために通常必要と認められる費用」を的確に反映した積算により国土交通大臣が定めて告示するとしています。「適正原価」のあり方は、トラック運送業界だけでなく国民生活や経済全体にも影響を及ぼすものであることから、十分な調査・検討を行うことが必要であり、運輸審議会での審議を経て告示し、さらにその後も一定の周知期間を要するため、施行は3年以内と定めたものと理解しています。行政として施行に向け、しっかりと取り組んでいきます。
――「投資の原資」を含むということは単純にコストを合算したものではないのですね。国が「適正原価」を告示してもダンピングする事業者が出てくることが心配です。
三輪田 「適正原価」を下回る水準の運賃・料金で運送を引き受けること、また、利用運送を行うことは、法律に違反することとなります。こうしたケースには関係事業者に行政処分が科せられる場合があるほか、事業許可の更新が認められない場合もあり得ます。一方、荷主が「適正原価」を下回る水準で発注することは、違反原因行為となりますから、トラック・物流Gメンによる監視や是正指導の対象になります。改善がみられない場合は、要請や勧告・公表を行うこととなります。また、今年5月に下請法が改正され、「中小受託取引適正化法」として荷主・トラック運送事業者間の取引も同法の対象に追加されました。これにより、不当な運賃・料金で発注する荷主等は同法に基づく是正指導の対象となります。こうした関係法令を活用し、公正取引委員会や中小企業庁とも連携して適正な取引を担保していきます。
――今回の事業法改正により、トラック運送事業者と貨物利用運送事業者が元請事業者として真荷主から引き受けた貨物運送を他の運送事業者に再委託するときは2回以内に制限することが努力義務に定められ、1年以内に施行されます。
三輪田 昨年の改正物流法において、他のトラック運送事業者が行う運送を利用する場合、一定の発注適正化措置を講ずることが努力義務化されましたが、この規定においても再委託は2回以内とすることが明示されています。今年の議員立法では、真荷主の定義に関する規定が改正され、貨物利用運送事業者も荷主から運送を引き受けたときは元請として扱われることとなり、元請となったトラック運送事業者と同じく、再委託を2回以内に制限する努力義務が課せられました。1・5t以上の貨物の運送について作成が義務付けられている実運送体制管理簿についても、元請となった利用運送事業者には作成義務が生じます。
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