カーゴニュース 2025年9月4日 第5368号
政府は8月29日、改正物流効率化法に基づき、2026年4月1日から施行する特定荷主・特定連鎖化事業者の指定、中長期計画の策定、物流統括管理者の選任と定期報告に関する命令を定めた。特定荷主と特定連鎖化事業者に指定された企業は物流改善の義務を負うこととなり、法令違反の場合は罰則が科せられることが正式に決まった。
26年度のみ「中長期計画」提出は10月末まで
特定第一種荷主(発荷主など)、特定第二種荷主(着荷主など)、特定連鎖化事業者(チェーンストアの本部など)は、1年間に取り扱う貨物の総重量が9万t以上の企業を、荷主・連鎖化事業者の事業を所管する省庁が指定する。荷主所管省庁は、経済産業省、農林水産省のほか、総務省、財務省、文部科学省、厚生労働省、環境省なども含まれる。指定を行う際に、軽量で容積勝ちの貨物を取り扱う発荷主や、卸・小売など着荷主となるケースが多いなどの業種については、重量を把握することに多大なコストがかかることが想定される。そこで、重量の算定に当たっては、輸送するトラックの最大積載量を貨物の重量に換算することや、容積を把握している場合は1㎥を280㎏として換算することを可能とする。
指定された企業は中長期計画の提出を義務付けられ、毎年度7月末までに定められた様式で提出する。ただし、施行初年度となる26年度に限り、10月末を提出期限とする。また、災害などやむを得ない事由により期限までに提出できない場合は荷主事業を所管する省庁が提出時期を定める。計画内容に変更がない限りは毎年提出する必要はなく、5年に一度の提出を認める。
物流統括管理者(CLO)については、特定荷主、特定連鎖化事業者に指定された企業はただちに選任する必要がある。
CLOは重要な経営判断を行う役員など当該企業の経営幹部から選任することとし、選任または解任の際は規定の様式による届出書(写真)を提出する。
CLOは、①中長期計画の作成②トラックドライバーの負荷低減と輸送される物資のトラックへの過度の集中を是正するための事業運営方針の作成と事業管理体制の整備③その他トラックドライバーの運送・荷役等の効率化のために必要な業務――を担当するとともに、事業所管省庁に対して定められた様式に基づき定期報告を行う。
CLOが行う定期報告は、特定荷主・特定連鎖化事業者に指定された日の年度の翌年度から行う必要があり、毎年度7月末までに提出する。災害などやむを得ない事由がある場合、荷主所管省庁が提出時期を定める。なお、CLOを選任しない特定荷主や特定連鎖化事業者には100万円以下の罰金が科せられ、選任の届出を怠った時は、20万円以下の過料に処せられる。
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