カーゴニュース 2025年9月18日 第5372号
オンライン特別編集「10月8日」は通関業の日
通関業者の新たなビジネスモデル創造に期待
――関税引き上げなど保護貿易的な動きが高まる中、自由貿易を推進する日本としては、特定の国・地域との間で関税の撤廃や引き下げを約束するEPA(経済連携協定)の活用がますます重要になっています。連合会では荷主のEPA活用をコンサルティングできる通関士の育成に力を入れていこうとしています。
岡藤 米国トランプ大統領の政策で世界的に関税が注目されてきたことは、通関業界にとっては千載一遇のチャンスととらえています。連合会では今年度、「EPA関税認定アドバイザー制度」を立ち上げました。6月に養成講座を開講し、第1期生として93人の「EPA関税認定アドバイザー」が誕生しました。これは今後の通関業界、通関士の使命と照らして考えた時に、非常にリマーカブルな出来事であると思います。
通関業は国民生活の安全・安心を担保する、国際物流の重要なインフラであるにもかかわらず、世間での認知度は十分ではありません。通関士自身も意識改革を図り、若い人たちが興味を持ち「働きたい」と思える業界にしていく必要があります。
今回、「EPA関税認定アドバイザー制度」を創設したことは、通関業、通関士の将来あるべき姿への第一歩になったのではないかと思います。アドバイザーとして認定されることは、通関士の新たな価値の創造につながります。そうした道を切り開けるかどうかは、「EPA関税認定アドバイザー」の第1期生の意識と行動、パフォーマンスにかかっています。
――昨今、通関業務へのAIの活用も実装されてきています。通関士の能力向上やコンサルタンシーを高めようとする背景には、将来、通関業務の一部がAIに代替されるという危機感があるのでしょうか。
岡藤 会長に就任以来、通関業、通関士を取り巻く環境変化への対応を常に訴えてきました。AIやRPA(Robotic Process Automation)の進歩により、通関業務の中でもルーティン業務はAIやRPAに置き換えることができるようになりました。地域によっては通関士不足が顕在化し、人件費も上昇している中で、新しい技術を積極的にとりいれて省力化を図り、ルーティン業務でのミスの削減やトータルコストの抑制につなげていく取り組みは不可欠です。
一方で、通関士自身はこうした環境変化にどう向き合っていくべきなのか――。あるべき姿の方向性を見定め、専門家としての能力向上への意識改革を促すうえで、「EPA関税認定アドバイザー制度」はいいきっかけになったのではないかと思います。ベテランの通関士だけでなく、通関士試験に合格してまもない若い人が「EPA関税認定アドバイザー」として荷主に貿易のアドバイスをする仕事に興味を持ってもらえれば、「エイジレス」という意味で、ダイバーシティの推進にもつながります。
第1期生として60社から93人の「EPA関税認定アドバイザー」を認定をしましたが、通関士として進むべき方向性を見据え、それにチャレンジすることが、通関業者の新たなビジネスモデルの創造につながると期待しています。連合会としては「EPA関税認定アドバイザー制度」のパンフレットを作成し、ロゴマークも作成予定です。こうした施策を通じ、業界として対外的なアピールに継続的に力を入れていきます。
購読残数: / 本
恐れ入りますが、ログインをした後に再度印刷をしてください。