カーゴニュース 2025年9月18日 第5372号

オンライン特別編集「10月8日」は通関業の日

インタビュー
認定アドバイザー制度で通関士に新たな価値を
日本通関業連合会 会長 岡藤正策 氏

将来あるべき姿への第一歩に

2025/09/17 17:00
全文公開記事 インタビュー グローバル物流 団体

ダイバーシティが「当たり前」になる業界に

 

 ――3月には国際通関業連合会(IFCBA)総会を京都で開き、日本がホストを務めました。連合会の国際活動についてはいかがでしょうか。

 

 岡藤 23年以降、インド、中国、韓国に続き、去る8月19日にはタイの通関業会とMOU(覚書)を締結しました。タイの通関業会は「EPA関税認定アドバイザー制度」にも関心を持ち、日本から学ぼうとしています。日本とタイの通商の歴史は長く、両国の通関業会が交流し、関係を構築していくのは意味のあることです。今後も、日本が貿易・通商面で重きを置いている相手国を意識しながら、MOUの締結を推進していきたいと思っています。

タイの通関業会とMOUを締結

 ――通関業を巡っては次期NACCS更改が10月に控えています。また、物流業界全体としては物流改正法が順次施行されていきます。

 

 岡藤 NACCSは日本の輸出入貿易の基幹となるプラットフォームに間違いありません。最近、NACCSを含め「サイバーポート」などの他のプラットフォームとのシステム連携が進んでいます。国際競争に後れをとらないように、通関業界としてもDXに積極的に取り組んでいく必要があります。

 

 また、通関業者の多くがトラック、倉庫などを兼業しており、物流改正法はほとんどの会員にかかわってきます。物流を持続可能にするため、関係者を巻き込んで総合的な取り組みが必要であると認識しています。通関業界としては、DXの推進が各種問題解決に貢献するカギになるのではないかと考えています。

 

 ――会長就任から力を入れてきた通関業界のダイバーシティ推進についてはいかがでしょうか。

 

 岡藤 鈴木宏前会長(二葉)の時代から通関業界のダイバーシティの推進に取り組んできました。活動自体は10年以上の長い歴史があり、「ダイバーシティ推進部会」を設置し、アクションプラン、「ミッション・ビジョン・バリュー」を策定し、啓発ポスターも作成するなど、一歩ずつ前進しているのですが、なかなか思うように進まないジレンマもあります。現状、各国や企業において「DEI(diversity, equity, and inclusion)」を見直す動きがありますが、それは一時的な現象だと考えています。世界平和や世界的な経済成長を求めるにあたって、ダイバーシティ、多様性を継続的に追求していくことは“マスト”だと思います。とくに日本は少子高齢化による人材不足はますます深刻化し、「エイジレス」「ジェンダーレス」「マルチナショナル」を推進していかないことには、企業が人材を確保できなくなるのは明らかです。業界としてダイバーシティが前進するような文化、システムをつくっていきたいと思います。

ダイバーシティ推進の啓発ポスター

 3月のIFCBA世界会議では、「持続可能な経済成長」「平等と包摂」「国際協力の強化」「教育・人材育成・公正性への投資」を盛り込んだ「京都宣言」を採択しました。日本は発起人で、自ら範を示していく必要があります。ダイバーシティが業界として「当たり前」になることが、結果として通関業の認知度向上、通関士のプレゼンスを高めることにつながると思います。

「京都宣言」を採択したIFCBA会議

岡藤 正策(おかふじ・せいさく) 1950年11月19日生まれ。74年3月立教大学社会学部を卒業後、4月阪急交通社(現阪急阪神エクスプレス)に入社。社長、会長を歴任し、23年4月から相談役。19年5月31日から通関連会長を務める

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