カーゴニュース 2025年9月25日 第5373号
オンライン特別編集「10月8日」は通関業の日
東京通関業会(中村剛喜会長)が行ったアンケートで関税・消費税等の立替払いを行っている会員店社はいまだ9割弱にのぼり、9割が荷主からの要請に基づいて行われているなど立替問題が依然として解決していないことがわかった。労務費の価格転嫁についても、通関料の値上げを求めた店社は3割以下とどまっており、値上げにより荷主から契約を打ち切られるおそれが価格交渉のハードルとなっている様子がうかがえる。
半数は2割以下の値上げにしか応じてもらえず
アンケートは2025年7月11日~8月11日にかけて、東京通関業会加盟店社281者(本社・営業所)を対象に行い、回答店社数は163者(回答率58・0%)だった。
関税・消費税等の立替払いについては、「行っている」が87・1%(昨年は95・6%)と9割弱だった。全輸入申告件数に占める立替払いの割合を尋ねたところ、「3割未満」(47・9%)が最も多かった。「7割以上」立替払いを実施している店社は、昨年の11・3%から7・0%と減少した。
立替払いを行っている理由(複数回答)では、90・1%の店社が荷主からの要請に基づいて立替払いを行っていると回答。「他社も行っているため」が28・9%、「貨物の早期引取りのためのサービスの一環」が20・4%だった。また、昨年と比べて立替払いが「減少した」は49・1%となり、半数の店社は立替払いに減少傾向が見られた。
立替払いについて「対応している」は78%。具体的な対応(複数回答)では、「リアルタイム方式・延納等の紹介」(91・3%)が最も多い回答で、次いで「関税等の前受の依頼」(58・3%)だった。回答者からは「通関業者に立替させるのを法律で禁止」、「金額が一定以上だと立替できなくするなど踏み込んだ提案」などの要望が寄せられた。
17年の通関料金の上限撤廃後、荷主に価格転嫁(通関料の値上げ)を求めたかを尋ねたところ、「求めた」は28・2%と3割以下。価格転嫁を求めた店社のうち、半数(50・0%)は2割以下の値上げにしか応じてもらえていなかった。価格転嫁できなかった理由(複数回答)で最も多いい回答は「価格交渉のテーブルについてもらえなかった」が63・5%だった。
価格転嫁を求めなかった理由(複数回答)は、「値上げを求めると契約を切られるおそれがある」(63・3%)が最多。おもな意見では、通関料金の上限撤廃の荷主への周知や「最低料金」の設定などを求める声や、「税番の相談や書類の作成、内容の相談等の業務が多く、通関料金以上にサービスを行っている」としてそれらの有料化を模索する意見もあった。
認定アドバイザー制度、2割強が活用意向
AEO通関業者制度については、65・6%が「取得済み」。AEO通関業者が利用している制度(複数回答)では「申告官署の自由化」が94・4%。自由化申告に関する税関への要望(複数回答)では「税関を跨いだ貨物確認の手続きの簡素化」(47・9%)、「他省庁他法令業務も、税関と同様の自由化」(42・3%)が多かった。
通関営業所の管轄税関以外の蔵置官署へ申告している割合は73・6%、通関営業所を集約している割合は54・0%(昨年は51・3%)で集約化が進んでいた。「税関による取扱いについて、税関間、申告官署間を問わず不統一がある」との回答は52・1%。不統一の内容(複数回答)では「分類」(87・2%)が最も多い。
通関士の業務に関し、申告書類の審査以外の行っていることが「ある」は93・3%。具体的内容(複数回答)では、「通関書類の作成」(89・5%)、「営業部等への輸出入知識の支援」(75・7%)、「他法令申請書類の作成または審査」(67・8%)が多く、「輸出入者へのコンサルティング」は32・2%だった。また、通関士に関する要望では「社会的認知度の向上」(77・3%)が最多だった。
6月から日本通関業連合会が導入した「EPA関税認定アドバイザー制度」の活用意向について聞いたところ、「活用しようと思う」は22・1%。「どちらとも言えない」が最も多い57・7%、「活用しようと思わない」が11・0%、「EPA関税認定アドバイザー制度を知らない」は8・6%だった。
通関業務のDXについては53・4%が「すでに取り入れている」と回答。具体的な取り組み(複数回答)で最も多いのは、「通関書類の電子保存」(81・6%)で昨年の67・5%から大きく伸びた。このほか「オンライン会議・研修」(79・3%)が多く、「RPA」は37・9%、「AI―OCR」は32・2%だった。
ダイバーシティの取り組みについては「現在取り組んでいる」(40・5%)、「これから取り組む予定」(12・9%)を合わせて5割を超えた。また「2024年問題」の影響を尋ねたところ、「影響があった」が86・4%。対応については「現在取り組んでいる」が84・8%だった。
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