カーゴニュース 2025年9月30日 第5374号

レポート
CLO支援へ新組織・サービスが続々登場

情報共有や企業間連携を促進

2025/09/29 16:00
全文公開記事 荷主・物流子会社 団体

 改正物流法により、2026年4月1日から、一定規模以上の「特定荷主」に対して「物流統括管理者(CLO)」の選任が義務付けられる。これを受けて物流関連団体では、CLOを接点とした企業間連携の強化や法改正の理解浸透、企業間の情報交換などを目的に新たな協議会が発足。さらに、物流会社や周辺企業もCLOの実務支援に向けたサービスを次々と打ち出している。各方面でCLOをサポートする動きが加速する背景には、荷主企業の物流戦略に強い影響力を持つCLOとの接点を持つことで、自社のビジネス拡大につなげる思惑もある。

 

必要な職能を解説、

育成支援も

 

 「CLOに求められる要件」を24年7月にとりまとめて公表するなど、CLOにかかわる知見を蓄積し、関連施策をリードしているのが、フィジカルインターネットセンター(JPIC)だ。現役のCLOも理事を務める同センターでは、24年9月に、CLO候補者を対象としたセミナーの開催を目的とする「CLO協議会」を発足した。

 

 荷主企業に加え、物流事業者、マテハン機器メーカー、システムベンダーを対象に定期開催しているセミナーでは、CLOに求められる役割と必要な職能についての説明や行政の担当者による解説を行うとともに、ベンダーによる物流効率化に向けたソリューションの紹介なども実施している。

 

 さらに、今年6月には「CLOカンファレンス2025」を開催し、SCM改革に向けたパネルディスカッションなどを実施。その中で、CLOと対等に議論、交渉できる「視座」「職務権限」「能力」を有した物流企業の責任者をLPD(ロジスティクス・プロデューサー)と定義し、CLOを中心としたサプライチェーン構造改革へのLPDの寄与を求めた。JPICは今期中にCLOの支援ツール等を作成することも検討中だ。

 

 大手荷主企業などを会員に持つ日本ロジスティクスシステム協会(JILS)では今年中をメドに、CLOへの支援として「物流統括管理者連携推進会議(J―CLOP)」の展開を計画。CLOが一堂に会し、連携・情報共有を行う場となるもので、行政の動向に合わせ、整備、認知、遵守、成果/評価、発展の5段階に分けて活動し、事業を通じた育成支援を継続的に行っていく。

 

 また、JILSの中心事業である物流人材育成の面では、CLO育成の専門講座として「ロジスティクス経営士資格認定講座」を定期開催している。架空企業を題材としたケーススタディやグループミーティングを通じ、CLOに不可欠な専門知識や管理手法、財務分析、戦略立案などを実践的に学ぶことができる。同講座は従来から、経営層を対象としており、CLO候補者の受講増が見込まれる。

 

セミナー、コンサルなどで

CLO と〝接点〟

 

 物流会社もCLO向けのイベント、サービスに乗り出している。CLOを切り口とすることで、荷主の経営層にアクセスでき、取引の拡大が期待できる。日本通運は2024年から、取引先企業を中心にCLOやCLOに相当する物流担当者を招いて、「CLOビジネスサミット」を複数回開催。毎回100社前後の企業が参加している。一方、ロジスティードは、CLO組織の活動を支援し荷主企業の物流改革を加速する「物流DXコンサルティングサービス」を今年4月から開始した。

 

 物流不動産会社も、テナントリーシングの戦略の一環として、CLOとの接点に着目。野村不動産は、CLOの役割や業務全般など様々な情報収集・共有を目的とした「CLOサロン」を企画。7月に行われた1回目の会合では、JPICがホスト役となり、「CLO協議会」の出張版プログラムを実施し、荷主企業や物流事業者などが参加した。

 

 東京流通センター(TRC)は今年8月、「CLOサポートユニット」を発足。テナントやテナントの候補となる企業に対し、CLOの役割や専任の方法などの情報提供を行うほか、企業間での最適な連携先のマッチング支援や物流TECHショールーム「TRC LODGE」による各種ソリューションの提案なども行い、CLOの実務支援を行う。

 

 物流システム会社やベンチャー企業も「CLO支援」を掲げ始めた。APTは、昨年9月からCLOを支援する新サービス「Logiドック」を物流・製造業界で業務プロセス改革を手掛けるストラソルアーキテクトと共同で開始。Ⅹ Mile(クロスマイル)は、9月から物流特化型コンサルティングサービス「CLOサポート」の開始を予定している。積載率や荷待ち・荷役時間など物流状況の実態把握から、計画策定、実行支援までをトータルでサポートし、法令対応だけでなく、コスト削減や競争力アップによる業績向上にも寄与する。

 

 こうした取り組みが進む一方で、荷主企業の間では法改正の内容やCLOに関する理解が進んでいないのも事実だ。今年4月に全日本トラック協会が公開した調査では、荷主企業3601社のうち6割が、物流管理部門の設置状況について「物流管理部門も担当者も設けていない」と回答。CLO選任の義務化に対応するには、企業間の情報共有や理解浸透が急務となっている。

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